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『怪しい日本語研究室』

2003年12月24日
怪しい日本語研究室
著者イアン・アーシー
出版社新潮文庫

本屋で立ち読みして,なんとなく買ってしまった本です。カナダ人の翻訳家イアンさんが,愛を込めて日本語を論じています。

日本語論というと,まだまだ日本人の専売特許のようなところがあるようで,外国人の書く日本語論に対しては,「外人が日本語を論ずることなんてできるもんか」,といった批判・批評が必ずのように唱えられます。日本人は,昔から『ハムレット』の批評や注釈をしてるのに。本書ではそのような批判に対して布石を打つかのように,日本語の「属人的」な性質を冒頭で論じています。

そういえば,少し前に,『声に出して読みたい日本語』なる本が流行りました。日本語ブームの火付け役となった著書です。本書と比べてみると,これはいわば垂直的に観た日本語論のように思います。これまで使われてきた,あるいは美しいことが検証済みの日本語を観察するといった感じです。ブームに乗じて出版された類書の大半は,このような「歴史的な(あるいは懐古的な)名文に触れる」類のように思えます。

これに対して,本書では,日本語を水平的に観る傾向があります。美しいかどうかはさておいて,著者が普段接している日本語を扱っているわけです。読むと,基本ソフトの日本語や,官僚言葉としての日本語,社長挨拶の決まり文句から外国語との関係まで,現代だけをとっても実に多様な日本語があることに驚かされます。外国人らしいアプローチなのか,文法的な内容に紙面の多くを割いているのも特徴的です。

日本語を持ち上げ過ぎることもなく,馬鹿にすることもなく,ちょっと片言的なニュアンスもあるけれど,ユーモアも交えて楽しく論じているところが,新鮮な日本語論でした。

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