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ヒツカクシ

2004年09月27日

とある雪国の話。

現在でも一部で残っているようですけど,贈答を雪に埋めてする地方があるんだそうです。「ヒツカクシ」と呼ばれるその風習は,贈答品を送り先の軒先に積もっている雪の中に埋めておくというものです。贈答の原因はなんでもいいようで,冠婚葬祭やお歳暮,旅行のお土産にいたるまで,あらゆる贈答が「ヒツカクシ」の方法で行われます。雪が無い季節は,普通に渡すようですが……。

この風習,贈答品が雪に埋もれていますから,ちょっと軒先を見ただけでは,贈り物があるのかないのか分かりません。春になるまで送り先の人間が贈答品に気づかない,ということもままあるようです。

また,雪の中だから,生き物や濡れると困るものは向きません。食品の類も腐ることはないけれど,あまり長い間野ざらし(雪ざらし)にされているのは衛生上よくないので,向かないようです。そういう不都合からか,近頃は,旗とかハンカチとか,雪だるまとか,そういったものをさりげなく立てておいて,早めに回収してもらえるように合図しておくんだそうです。

「ヒツカクシ」の語源は,その昔,村が飢餓に苦しんだときに,えらいお坊さんが「お櫃」に入ったご飯を村の人々に振舞ったという伝説からきているようです。

お坊さんは,とても謙虚な方だったらしく,自分が振舞ったことを村の人々に知られないように,お櫃を軒先に置いておく方法で配ったんだそうです。伝説では,お櫃は埋まっていなかったようですけど,まるで隠れるように贈り物をするところから,「櫃隠し」つまり「ヒツカクシ」となったんだそうです。

それ以来,飢餓の窮地を乗り切った村人は,お坊さんにあやかって,贈答を雪に隠す方法でするようになったんだそうな……。

贈答も地方によって随分特色があるんですね。

と……これが,今日あたしが見た夢でした。「ヒツカクシ」なんてありませんよ(念のため……)。夢では友人とカマクラ作りをしていると,陶器や磁器がざくざく出てくる……というシチュエーションでした。友人の顔は覚えていないんですけれど,「ヒツカクシ」についてはよく知っているらしく,上に書いた説明をとうとうと話して聞かせてくれました。最後に友人が,「怒られるから埋め戻そう」とか言うところで目が覚めました。

夢にしては,やけに現実味がありました。あまりにリアルだったので,起きてから真っ先に広辞苑を引いちゃったくらいです。もちろん,ありませんでしたけどね,「ヒツカクシ」……。

続いて,家族に話したところ,「それを言うなら『ひつまぶし』だろ?」という返事……。たしかに,音は似ているけれど,コンセプトが根本的に違います。かたや風習,かたや食い物なんですから。まぁ……夢なんだし,どうでもいいことなんですけど……。

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