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武勇伝の心理

2005年02月20日

窃盗『フィクション交えた誇張』 タレントは活動自粛」(アサヒ・コム

報道では隠しているようですけれど,放送しちゃってるんだから名前を出しても構いませんよね。あびる優。釈明しているようです。

所属事務所によると、万引きしたのは安価な駄菓子類を1回だけだったという。

ということは,正解は「無し」だったということなのかしら……。放送で話していた内容とは,随分と違うようです。

本人や日テレは,ネットやら抗議電話やらで存分に叩かれているので,ここでは別の話をば……。今回の件にかかわらず,そして,テレビを初めとした報道にかかわらず,「武勇伝」を語る人ってのは多いですよね。「オレも昔はワルだった」みたいな話。居酒屋で聞き耳を立てていると,かなりの確率でおっちゃんの武勇伝を聞くことができます。

あびる優をかばうわけじゃないけれど,恐らく,こういう心理自体は多くの人に備わっているもんなんだと思います。もちろん,取り立てて理由をあげつらうまでもなく,公の場で肯定的に話しちゃいけないことは明らかですが。「つい最近」のことだったり,微罪じゃ済まない被害額だったらなおさら……。あたしが気になるのは,こういうことを話してしまう心理というか,動機の部分です。

素直に考えると,昔悪かったことを話すのは,ある意味贖罪なわけで,謝りこそすれ自慢するもんじゃありませんよね。ここら辺の心理ってのは,つまり,あれですね。「向こうの人間」ってやつです。あ,意味分かりませんか。つまり,

自分はあなたが知らない世界の住人でもあるんだよ。

ということを示すということ。ここでのポイントは,その世界が,自慢する相手にとって,十分魅力的であるということです。その世界の住人であることが,つまり自分への権威付けになっているように思うからです。例えば,

オレも昔は,どぶ川の鯉を手づかみで捕っては生のまま食っていたもんだ。

とかいうのは,たしかに(少なくともあたしの)知らない世界の住人ですけれど,「すごい」と思うよりは引いてしまいます。これは,提示した世界がまずくて,自慢する世界の魅力が相手に伝わらないからです(多分)。

ということは,武勇伝を話すためには,その所属していた(とされる)世界の魅力について,ある程度共通の認識がなければならないようです。ここら辺の認識にギャップがあると,せっかく自慢しても思った通りの反応が返ってきません。鯉を手づかみで捕る世界は,概ね共通して魅力が無いんでしょうけれど,ここら辺のギャップはそこいらに落ちています。おっちゃんの武勇伝についていけなかったり,自称「元族」の話が理解できなかったりするのは,現実にあるギャップといったところ……。

ヲタクとされる人間にとっても,こういう経験は少なからずあるわけで,例えば,

オレも昔はゲームボーイを分解しては,ROM 吸い取り機を作ったもんさ。

みたいな話は,全く普通の人のアンテナで受信してもらえなかったりします(トホホ)。

今回の話も,このギャップが決定的に致命的だった感じがします。話している本人にとって,犯罪グループは魅力的な世界だったと……。さらに言うなら,日テレにとっても魅力的な世界だったのかな。

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