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匿名性のはなし

2005年05月01日

Hotwired Japan に連載中の「小倉秀夫の『IT法のTop Front』」……狙ってるんだか,そのつもりはないんだか,どんどこ燃料を供給しているようです。もう打ち切りみたいなのでリンクは張りませんけど,実質的に最後のエントリになったのは,「汚れたどぶ川には、清冽なる鮎は住めない」だそうで……。

「匿名」の話はもうそれなりに煮詰まっているし,あたしの浅知恵で何か気の利いたことが書けるわけでもなさそうなので,改めて書く必要もないんですけれど,小倉氏のブログには,以前自分が書いたエントリ(参照:「砦のないブログ人達」)に関連するエントリもあったので反応しておきます。

総括しておくと,つまり,小倉さんは匿名でブログを運営すること,あるいは匿名でブログにコメントを付けることが許せないんだそうです。発端は人権擁護法案に関する議論が白熱したことにあるので,匿名云々の話はどちらかというと枝葉の話です。比較的まとまっている主張は,「大流行『ブログ』でストーカーに狙われる」(Yomiuri On-Line)あたりでしょうか。曰く,

問題なのは匿名である点だ。

ネットの世界には、民族差別的な書き込み、極端な政治思想を持つ「ネット右翼」など、匿名を隠れ蓑に無責任な発言をする人々が多数存在する。これまで「2ちゃんねる」などで暗躍していた彼らが、ブログの流行で活動の場を広げる可能性は高い。

なんだそうです。

小倉氏が,匿名ブログ一般を批判しているのか,それとも匿名に乗じて「名誉毀損」やら「侮辱」やらといった違法行為をすることが許せないのか,そもそも「匿名」や「コメントスクラム」が何を意味しているのか,いまいちよく分かりません。

もし匿名の発言(HN を使った発言も含む)自体が悪なんだとすると,あたしも「卑怯系」の仲間入りということになっちゃうんですね……なんだかなぁ……(トホホ)。

小倉氏の議論は,独自の用語を使っておられるためか,読者も受け取り方がまちまちで,結論も恣意に傾いてしまっている印象があります。

たしかに,ネット上の発言によって名誉を傷つけられたと感じている人がいることや,(ブログの話ではないものの)裁判所が名誉権の侵害を認定しているケースはあるわけで,何らかの手立てが必要だというところまでは理解できます。できるんですけれど……。それがどうして「匿名」と直接結びつくんでしょう……。もう少し一般的な概念で説明してくれればいいんですけどね。

この件で面白かったのが,木村剛さんの議論(参照:「モノ書きの老婆心:『匿名性』を護るために」(週刊!木村剛))。随分昔のエントリですけれど,現在もこの方向性は一貫しているようです。

ここで,木村氏の主張するところは,「匿名性のネガティブな部分が仇になって,ポジティブ(正当)な匿名性が犠牲にさらされる恐れがある」ということなんだと思います。実際,小倉氏のように匿名性のネガティブな部分を強調する主張が,読売のサイトに掲載されているわけで,半分揚げ足を取られている感もありますね……(読売の記事は,前半でプライバシーを扱いつつも,後半で匿名性を攻撃したりしていて,結局ブログに対するただの「ゴネ」になっているようにも思えるんですが)。

こういう構図になってしまうと,いくら匿名のポジティブな面を強調したとしても,世間一般に対してはあまり効果が無さそうです。ネット上で名誉を侵害されている例があるのと同様に,発言者のプライバシーが侵害されている例もゴマンとあるわけで,両者をどのように調和させるのが望ましいのかという議論が先に立たないといけないようにも思うんですけどね。

とりあえず,「匿名性」擁護派としては,読売の記事(前半)よろしく,プライバシー侵害の実例でも紹介するのがいいのかな……(それも後向きなアプローチだなぁ……)。

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