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科学思想の書籍をちょっと紹介

2006年05月01日

近頃こちらの本が売れているということで,読んでみました。文字は大きく,行間もたっぷり,「科学」と聞いただけでドン引きするような向きにもやさしく書かれているので,行き帰りの電車なんかでサクッと読めると思います。

本書は,科学といっても「確か」だと言えることはあまりない,ほとんど仮説でできているんだよ,といった話です。あえてジャンル分けをするなら,科学思想の本ということになるんでしょうけれど,微妙に啓発本の匂いもするのが特徴です。つまるところ,科学でもたしかなことはあまりないのだから,常識にとらわれてちゃいけませんよ,といった具合。個人的には微妙に飛躍があると思うんですけど,啓発本の類が好きな方にはそれなりに説得力があるかもしれません。

科学思想の書籍というと,高校生のときに読んだ本で,えらく感銘を受けた本がありました。それが以下の2冊です。

新しい科学論―事実は理論をたおせるか
村上 陽一郎
講談社 (1979/01)
売り上げランキング: 32,746

かなり昔に書かれた本で,あたしが読んだのも出版から相当時間が経った後でした。けれど,(啓発的な要素が少ないという意味で)純粋な科学思想の本を挙げるとしたら,『99・9%は仮説』よりもこちらをお勧めします。『99・9%は仮説』を読むついでに本書と読み比べてみたところ,本書に書かれている内容は『99・9%は仮説』の内容をほぼ含んでいるし,論点もきれいに整理されているからです。内容的にも,本書は『99・9%は仮説』が「当時はそういう常識だった」程度で済ませている説明を掘り下げて,思想的な文脈の中で説明していることから充実していると思います。

で,もう1冊。

分類という思想
分類という思想
posted with amazlet on 06.05.01
池田 清彦
新潮社 (1992/11)
売り上げランキング: 75,407

こちらは生物学の本です。このサイトでも,いつだったかチョロっと紹介したと思います。

生物学で生き物を分類する方法には,リンネの分類をはじめとした各分類があります。本書は,そもそも物事を客観的に分類する方法なんてものは無い,といった話を前提にして,こうした分類がどういった思想を背景にして成立したのかを探りつつ,「分類すること」がどういう営みなのか考えています。生物学に的を絞った本ですけれど,大きな意味では科学思想書に含めていいと思います。

あたしは,高校生の当時生物を履修していて,当たり前ながらに「哺乳類」とか「被子植物」とかいった「分類」を覚えていたわけですけれど,そうした時分に読んだ本だっただけに本書は衝撃的でした。だからって生物の成績が良くなったわけじゃないんですが。

個人的に,ここで紹介したような科学思想書のテーマは,ニューアカなブームに乗っかっていた側面もあると思っていて,今時こういう本は売れるのかな,と思ったりもしていたんですけれど,『99・9%は仮説』の売れ行きを見ると,依然として人気があるみたいですね。(あたしを含めた)文系の向きも参加しやすいからかしらん。

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