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『思考する機械コンピュータ』を読んでみた

2006年06月21日

個人的にまさかで(かなり)ガックリなコトがあったもんで,ものすごくテンションが低いんですけれど,とりあえず更新。もうなんだか,年を追うごとに頭が悪くなっている気がします。もともと悪くなるほど良くもないんですけど。

と,ひとり語りはこれくらいにして,以前小飼さんのブログで紹介していた『思考する機械コンピュータ』という本が,『ペシミスティック・サイボーグ―普遍言語機械への欲望』[amazon.co.jp]つながりで気になっていたもんで,読んでみました。

思考する機械コンピュータ
ダニエル ヒリス W.Daniel Hillis 倉骨 彰
草思社 (2000/10)
売り上げランキング: 117,105

本書は,一般向けに書かれたコンピュータの基礎原理本です。基礎原理というのは,コンピュータ(compute するモノ)がどういった発想で成り立っているのか,という話。本書に言うように,コンピュータそのものは,論理演算ができればその素材は何でもいいわけで,棒切れや流体(パイプを使う)で構成されていても成り立ちます。つまるところ,「コンピュータ」は,「原理」や「概念」の類であって,必ずしも普段スイッチを入れて起動させるアレである必要はない,というのが本書のミソです。

序文にもある通り,本書は2部構成になっていて,前半の3章と残りの後半に分かれます。前半はコンピュータの仕組みを説明するもので,プリミティブな概念から徐々に複雑な仕組みへとビルドアップして説明しています。単純な論理演算の話から有限状態機械へと無理なく話が進むので,コテコテ文系のあたしでもサクサク読めちゃいます。ここまで平易にコンピュータの全体像を提示している著作というのも,そうそうないんじゃないでしょうか。

一方,コンピュータを丁寧に説明している本なら他でも見付かるわけで,それだけでは特筆するものはないようにも思えます。もちろん,十分に分かりやすい説明なんですけれど,「説明」ってのは著者の考えがあまり入り込まないことから,マニュアル的な楽しさはあるものの,読み物としてはいまひとつだったりします。前半部がそれとして際立つのは,むしろ後半のムズカシゲな話を見事に架橋しているからだと思います。

後半部では,チューリングマシンや暗号,量子コンピュータから並列コンピュータ,それに人工知能といった具合に,コンピュータ・サイエンスの(多分)一番楽しいところをトピックにして扱っています。おそらく,本書の出来がいいのは,こうしたムズカシゲな話の入口を作ってくれたところなんだと思います。

本書は設計思想にとどまらない思想的な話も扱っていて,興味深い箇所もあるんですけれど,それはまた別の機会ということで……(まだこのネタを引っぱるという)。

なお,「現実の CPU」と「概念としての CPU」とを架橋する本としては,『CPUの創りかた』という本がオススメです。いわゆる74系のロジック IC(基本的な論理ゲートやフリップ・フロップを集めたシリーズ)で CPU を作っちゃおうというもので,ネタとしても教材(!)としても楽しめます。

CPUの創りかた
CPUの創りかた
posted with amazlet on 06.06.14
渡波 郁
毎日コミュニケーションズ (2003/10/01)
売り上げランキング: 11,349

「CPU 作るぜ」みたいな話というと,CPLD でファミコンや MSX を作っている人がいるけれど,CPU の中身を見るといった意味では,抽象化されすぎています。だからといって,トランジスタから NAND ゲートを作るのも,ネタに収まらない苦労が容易に想像できるわけで,74系の IC を使ったのは丁度いい匙加減だったんだと思います。もちろん,実用性はまったく無いんですが。

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