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DEATH NOTE の最終巻を読んだ

2006年07月05日

連載はとっくに終了していて,話題もとっくに出揃っているようですけれど,単行本で読んでいるあたしはやっとこさ読み終わりました。この巻が最終巻です。以下,ネタバレ注意。

DEATH NOTE 12 (12)
DEATH NOTE 12 (12)
posted with amazlet on 06.07.05
大場 つぐみ 小畑 健
集英社 (2006/07/04)

全体を通して,戦略ゲームの側面については,ストーリーをグイグイ引っぱっていくドライブ感が心地良い作品でした。L が死んでから,ちょっとトーンダウンした感じがあるなぁ(なんで殺しちゃったんだろう……)とか,弥海砂は2回も目の取引をしているけれど,結局ストーリーそのものには影響しなかったなぁ……とか,微妙に不十分な感じは残るんですけれど,重箱の隅をつつくようなことをしていると,肝心のドライブ感が損なわれちゃうのかもしれません。

一方で,最後の最後になって「正義」とか「神」とかは出さなくても良かったんじゃないかなぁ……と思ったりします。これはあたしが,心理戦や戦略・推理ゲームみたいな楽しみをメインにしていたからかもしれないけれど,「キラ社会」とか「キラが神になる」とかいった話は,どうしても「取って付けた感」が残ってしまいます。

ストーリーの全体を追ってみると,ライトに神様性はあまり感じられません。

例えば,奇蹟の類は,単に「人を殺せる」という力だけで,創造主のような世界に対する全能感はありません。極端な話,人を殺す能力に長けているだけだったら,圧倒的な戦力を持っている王様が主人公でもいいわけで,それをもって自分を「神」と称するとしてもレトリックの域を出ないはずです。また,「裁き」の基準にしても,原則として既決の拘禁者を対象にしている点で,えらく現代の刑事司法システムに順応した神様だなぁ……と思ったりもします(罪を見通すことができないことの裏返しでもあるわけだけど)。

そんなわけで,読者にとってみたら,ライトに神様性を認めるか否か葛藤する余地もなく,単純に「クレイジーな大量殺人犯」の戯言として受け取るしかないんじゃないでしょうか。

他方で,「正義」の話はどうなんでしょう。正義の話として見た場合,本作はライトの革命顛末記ということになりそうです。

ライトの正義観は割と単純で,「力こそ正義」みたいな事実的な実力を正義と等置する考え方か,あるいは自分の優秀さを自覚して哲人政治みたいなもんを正義の中心に据えているようです。いずれにしても,ここでは,実力者==哲人==ライトですから,「オレが正義」な正義観としてみたら似たようなもんですね。古典的ですけれど,これはこれで筋が通っているので戯言とも思えません。犯罪や戦争が減ったことを正義の根拠にしている点については,正義に基いて犯罪が裁かれたり戦争が行なわれたり(行なわれなかったり)していることからすれば,論理が転倒しているか(どれを犯罪にするかの判断は正義に優越しない),トートロジーなんでしょうけれど,そこは目をつむるということで。

ただ,これに対抗するニアの正義観を見ると,「自分が正しいと思うことを信じ正義とする」とか言っていて,結局ライトと同じ「オレが正義」な考え方だったりします(あれぇー?)。もちろん,ニアは自分の正義を他人に押し付けない,という点でライトと異なっています。けれど,その究極的な根拠は,本人が「私もあなたと同じです」と言っている通り,「オレ」にあるようです。ということは,結局どっちが勝っても,「オレが正義」どうしの戦いだったことには違いはなかったと……。

どうせ「正義」を問題にするんだったら,「オレ」としては殺したいけれど「正義」ゆえに殺せないとか,その逆とか,そうした葛藤のある正義観が顔を出してもよかったんじゃないかなぁ……と思ったりもします。まぁ……注文付けすぎなんですが。

と,なんだか,さんざっぱらケチを付けちゃったんですけど,この作品,あたしゃかなり好きなもんで,思うところもいろいろあったというワケです。こういった駆け引きを扱う類の話は,ジャンプのコミックとしてはおそらく新しい部類に入るだろうし,ジャンルそのものから見ても,死神やデスノートといった特殊アイテムを絡めたストーリー展開は,スリリングで絶妙だったと思います。最終巻まで揃ったことだし,もう一度通して読み直し……。

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