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子供が使う暗喩の話

2007年01月11日

今日,ファーストフード屋さんでご飯を食べていたら,5歳くらいの子供を連れた親子が数組,店内にやってきました。その時の子供どうしの会話。あ,お母さんたちが井戸端談義に入っていて,子供が手持ち無沙汰といった例の状況です。

男の子 「ねぇ!これできる?」「グーチョキパーで,グーチョキパーで,何作ろー,何作ろー♪」(手振りも加えて)
女の子 「……」(ご飯食べてる)
男の子 「ねぇねぇっ!これできる?」「グーチョキパーで……」
女の子 「できるよ!」(←それっきり)
男の子 「……」
女の子 「……」(←引き続き,ご飯食べる)

子供が「これできる?」と親なり友達なりに言う場面ってのを,あたしゃよく見掛けるんですけれど,こういう時の「これできる?」は,「はい」とか「いいえ」で答えるもんじゃありませんよね。いや,もちろん,文字通りに考えれば,「はい,できます」とか「いいえ,できません」とかいった具合に答えるのが正しいはずです。

けれど,ここで男の子が「これできる?」と言ったのは,「一緒に『グーチョキパーの歌』(なんていうんだっけ?)で遊びたい」と言ってるんですよね。あたしが見たところでは,こうした表現を使うのに性差云々はあまり関係はないみたい。男の子も女の子も同じくらいの割合で,「これできる?」と呼び掛けている印象があります。

その時は,空気の読めねぇ女の子だなぁ,と。

ともあれ,改めて考えると,こうした裏の意味を持った言葉(暗喩)をこのくらいの年齢でも使うというのは,ちょっと驚きです。また人工知能の話になってしまうんですけれど,子供の世話をする人工知能なんかを作るとしたら,暗喩も処理できなくちゃいけません。「これできる?」な呼び掛けに対して,「ハイデキマス」(ベタな表現!)とか答えても,ちゃんと応答したことにはなりませんよね。お世話ロボット失格です。あ,くだんの女の子も空気読めなかったから,似たようなもんか。

もしかしたら,子供にとって暗喩というのは当たり前のことで,こうした人工知能を作るのは,かなり難しい部類に入るのかもしれません。例えば,法律解釈のエキスパート・システムなんかについて考えると,もともと法律そのものが(一義的とまでは言わないものの)かなり論理的に構成されてるから,下手な話,述語論理の規則だけでもそれなりのモノが作れちゃったりします(実用になるかは措いておくとして)。けれど子供は,まだ論理=言葉を身に付けていません。限りのある語彙から自分のしたいことや,思っていることを効果的に表現するとしたら,暗喩という方法はかなり重宝するんじゃないでしょうか。そうしてみると,「子供が暗喩使ってる!すげー!」ってな話でもないのかもしれません。子供のいないあたしにとっては,憶測ばかりになっちゃうんですが。

もちろん,暗喩が使われる場面は,語彙が限られていて表現に難儀するときばかりじゃないから,子供の暗喩だけが最高に難しいってわけじゃないんでしょうけどね。子供が夜に「帰りたくない」というのは「もっと遊びたい」といったところ。大人の場合もありますもんね……いろんな意味が(暗喩っぽく終わってみる)。

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