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反対解釈とロジック

2007年02月09日

うーん……なんだか変な話になってるわけですけれど。

柳沢厚労相が6日、今後の少子化対策への取り組みについて「若い人たちは、結婚したい、子どもを2人以上持ちたいという極めて健全な状況にいる」と発言し、再び波紋を広げた。

(snip)

共産党の穀田恵二国対委員長は「1人だったら不健全、ゼロだったら不健全だと言いたいわけだ。全く反省していない」、社民党の福島党首は「子どもを持ちたくても持てなかった人や、持とうと思わない人に配慮がない」と批判。

asahi.com:「結婚・子2人は健全」 厚労相発言、与党内からも批判 - 政治

「子どもが2人以上欲しいことは極めて健全」という話の対偶は,「極めて健全と言えない人は,子どもを2人未満欲しいと思う」ということだろうから(※¬「以上」を「未満」とする),まぁ,それはそれで問題なんだろうけれど,¬「極めて健全」が「不健全」かというと,それはそれで論理に問題があるような,ないような。「普通に健全」かもしれないし……。「対偶」じゃなくて「逆」の話なのかな(それならなおのこと論理的にアレになってくるわけだけれど)。

あたしゃ思うんですけれど,この話の場合,¬「極めて健全」の内容には触れていない,という正解もありうるんじゃないか,と。

こういう話は,法律の条文を読むときにいろいろと操作が加えられるところで,少なくとも反対解釈の話としては,割とどうとでも解釈できちゃうところがある気がします。例えば,刑事訴訟法の198条1項でこんな話があります。

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

どんな話なのか簡単に説明すると,警察が捜査する時には,被疑者を取り調べることができますよ(本文)。でも,被疑者が逮捕されてないときは,無理に取調室に連行しちゃいけませんよ(但書),という話です。

ここで,但書以下が問題になります。「逮捕されてないとき」(在宅被疑者の場合)に連行しちゃいけないのは分かる(そう書いてあるから),じゃあ「逮捕されているとき」は無理に連行してもいいの?という問題があるんですね。逮捕されていたら,取調べが始まるのが普通なわけですけれど,細かい話としては,こんな話があるというワケ。

普通に考えると,「逮捕されているときを除く場合」は「無理に連行できない」んだから,「逮捕されているとき」は「無理に連行できる」と考えるのが自然ですよね(この「自然」というのもゴマカシが入っているんですけど)。けれど,この話,「逮捕されているとき」については「何も書いていない」と読み込む学説もあるんですね。このロジック(※数学的なロジックではない)はえらくテクニカルだったもんで,学生の頃の話なのに今だによく覚えています。「よくもまぁ,考え付く人がいたもんだ」といった具合に。

こういうことを考えると,「子どもを2人以上持ちたいという極めて健全な状況にいる」なる発言は,「2人以上の子どもを持ちたい」と思っている人を「極めて健全」と評価しているだけで,それ以外については「何も語っていない」と解釈することもできそうです。まぁ,どっちにしろ,分かりづらいことには変わりないんですが。

つまるところ,反対解釈ってのは,一義的に意味が取れるわけじゃなくて,いろいろな解釈の余地が出てきちゃうから,多用するとただの揚げ足取りになっちゃうよ,という話だったのでした。そういう意味で,まぁ,なんだか変な話。

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