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夏の「空気読め電波」読解基礎講座

2007年08月13日

今回「空気読め電波」読解基礎講座の担当となりました aian です。この頃,おっさんの「空気読め電波」にやられっぱなしで,ちょっとグロッキー気味なんですが,一日も早くムラ社会の一員となれるよう,がんばって夏を乗り切りましょう。それにしても,ほんと,こんな電波を発することでモノゴトがうまくいくんだから,よくできた社会ですね!(※「そう見えるだけ」という話は後述)。

「空気読め電波」は,文字通り「空気読んでください」という場(雰囲気)を作りあげるもので,ここで勝手に名付けたものです。言い回しや表現,それに仕草などなど,いろいろな形態をとりうるけれども,これを読めないと,彼の言わんとしていることがそもそも理解できません。ということは,ムラの一員にもなれないわけです。大変ですね。

けれどご安心。電波は読みやすいものから読みにくいものまで多種多様です。簡単なものなら少し気を付ければ,あなたでも読めるんです。読んだ電波をどう扱うかについては,あなたの自由にしていただいて構いません。しかし,どう扱うかについても電波が織り込まれていることがあるので,適宜指摘しておくことにします。

まず,電波初心者が分かりやすいものは,言い回しだと思います。例えば,皮肉の類。ここら辺はほとんどオヤジギャグ的な低級ウィットが効いているので,それだけで若者のみなさんはゲンナリかもしれません。けれど,低級な分だけ分かりやすい。一方,仕草だけで空気が読めたら上級です。

次に,実例を踏まえて……。ここでは,簡単なものから順番にステップアップしていきましょう。今回の例は,こういうもん。かなり抽象的に表現しているので,あちこちに当てはまると思います。

リンゴは赤いけどさぁ……バナナは黄色いからねぇ……。

さて……。このうち,話者はリンゴとバナナのどちらを肯定的(あるいは否定的)に感じていると理解できるでしょうか。

正解は「言い回しによる」です。リンゴの話を低い声で暗めに話している場合は,リンゴについてネガティブに話しているし,少し高い声で明るめに話しているときは,ポジティブに感じていることになります。一方,「リンゴが赤いこと」と「バナナが黄色いこと」は,どちらも当たり前のことを言っているだけなので,ポジティブに判断する要素でもなければ,ネガティブのそれでもありません。言い回し,または面頭向かっている場合は表情。ただそれだけが,相手の言わんとしていることを理解するための手掛りです。

ここでは,リンゴとバナナといった当たり障りのないものですけれど,実際にはご近所の評価や,部下・上司の評価,取引のある会社や,学校の先生に対する評価みたいなもんが入ります。そう言われると,思い当たるところも出てくるでしょうか。

ともあれ,こうしたところには,ロジックもへったくれもないので,間違えても「そうですよねー,リンゴは赤いですもんね!」なんて,理由付け(っぽいところ)を取り上げたらいけません。繰り替しになるけれども,「リンゴが赤いこと」には何も意味がないからです。見りゃ分かる。

他方,どちらかについてポジティブ(またはネガティブ)を確定できるとして,論拠と呼べるものがないことにも触れちゃいけません。つまり,「どうしてリンゴが赤いといい(悪い)んですか?」と聞いてはいけない,ということ。なぜなら,「そゆこと聞くな」という空気も,電波の中に織り込まれているからです。つまるところ,相手は,何の論拠もなしに,特定の相手について評価している,というわけです。空気を読む側としては,そこまでできれば十分です。残りは軽やかにスルーしておきましょう。

さて,上の例で実際に空気を読むことができるようになったら,次のステップに進みましょう。実は,上の表現には省略形があるのです。

リンゴはねぇ……。

一見とてつもなく高度な電波が発せられているように見えます。けれど,ステップ1を学んだあなたには簡単なはず。暗めに言ってたらネガティブ,明るく言っていたらポジティブなのです。文言そのものに全く意味はありません。文脈によっては,もっと高度に「意味」が織り込まれていることがありますけれど,電波初心者のみなさんは,「なんかイヤな(イイ)んだろうな」くらいを理解できれば十分です。

また,ここでも,話者の発言に対して理由を求めるのは注意注意です。「リンゴがなんですか?」とか尋ねたらいけません。ここら辺にモヤモヤを抱くのは,いつだって聞き手なわけですけれど,こういうもんは無視してサッパリ忘れましょう。

最後に,こうした電波による主張の論拠を立証する責任について考えてみましょう。つまり,リンゴがいい(悪い)ことを話者と私以外の人に説明するときに,どちらが説明する責任を負うのか,ということです。

それは,大抵の場合,話者と私の両方になります。なぜなら,この立証責任を通じて,はじめて話者と私はムラ的に結合するからです。わたしはあなた,あなたはわたし,といったところです。立証責任を果たさずに話者に内容を確認すると,その段階でこの結合が崩れます。空気なるものは,言葉のような物質に還元すると,死んでしまうからです。空気を空気のまま,話者と私以外の第三者に感染させる……。これがムラ的な作法なのです。この点は要チェックなので,よく確認しておきましょう。

ここでは,活字ではなく,実生活における空気の読み方を説明してまいりました。活字が発する空気の読み方については,また後日お話する機会があればと考えております。まだまだ夏も中盤です。体に気を付けて夏を乗りきりましょう。夏は一番伸びる時期ですからね!ご清聴ありがとうございました。

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