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今日読んだ本 - 暴走老人!

2007年10月17日

つい先日,本屋の袋にチラシを入れられてキレていた初老の男性の話を書いたけれども,それからも2度程キレてるじいさんを見ました。キレる云々の話は,大抵若年層に向けられるもんだけれども,最近はじいさんがキレてるところを見る方が断然多い。本書はそういったキレる老人を「新老人」と称して,あれこれをつづった話です。厳密に分析したものではないので,エッセイの類として読む方がよさげな感じ。おそらく,こういう本が,厳密な分析本の呼び水になるんじゃないかと思います。

暴走老人!
暴走老人!
posted with amazlet on 07.10.16
藤原 智美
文藝春秋 (2007/08)
売り上げランキング: 178
おすすめ度の平均: 4.0
5 老人がキレル訳と今の社会
2 呑気力に脱帽
5 藤原さんは時にこんなのも書くのか、、、

このサイトでさんざっぱら書いているけれども,最近の若者は本当に大人しくなったし(文字通りの意味でも),礼儀もよくわきまえている人が多い気がしています。もちろん,それでいいのか,という議論もあるわけですけれど,それにしたってそうした若者と比べると,高齢者の作法は見劣りしてしまう。まるで子どもみたいな人が目につきます。子どもならまだ「かわいい」の範疇に入るけれども,いい年こいた初老の男性が,ちょっとしたことでキレたりダダコネたりしているのを見ると「気味が悪い」。あんなじいさんにはなりたくない,と本気で思います。

本書では,高齢者の犯罪やマナートラブルの事例を挙げて,社会的な要因を考えています。ただ,そのどれもが高齢者の問題に特有なのかというと,疑問もチラホラ。ゴミ屋敷の例ともなると,かなり説明に無理がある感じ。特定の個別的な事情だけでもって,高齢者一般を説明するのは難しいんじゃないかと思ったりします。また,現代の社会批判理論としてフーコーなんかも持ち出すわけですけれど,今度は一般化しすぎちゃうもんで,これまた高齢者に当てはまるものとは思えません。そんなもんで,論旨全体について何かしら説得的な説明があると踏んで読むと,どうにも煮えきらない感想になってしまうはずです。

本書のテーマは,社会と個人との関係なわけで,犯罪やらマナートラブルなんかの話で問題視されるのは,(悪い言葉で言えば)社会不適合な人ということになります。もちろん,これは社会の側を「正」として見たときの言い回しなわけで,「社会の側がオカシイんだ」といった理屈をこねれば,それなりに収まりのいい(= 折衷的な)論調になります。で,案の定,本書も「昔とは社会環境がまったく変わっている」といった話に収まるという……。社会批判理論を持ち出すのも,そうした意図が(意識的にか無意識的にか)あるように思われます。

あたしゃもちろん,それが間違っているとは思いません。けれども,「人間らしさ」とか「昔はよかった」とかいったノスタルジックな話は,どこまでいっても「詩的なもの」に分類されちゃうしかないと思うんですね。

あたしが近頃思うのは,生涯現役を望まない人(隠居したい人)も「現役であること」を強制されているんじゃないか,みたいなこと。本書にもある通り,たしかに社会全体のインフラが現役世代(しかもかなり若年の)にシフトしている状態で,高齢者が現役を通すのは難しい。メールやインターネットが使えなければ,孤独死すら招くかもしれない……というのは極端か。いずれにしても,そうした生きづらい場所(現役の空間)に「居させられている」といった状況があるとすれば,もしかしたら権力論的な話に解消できるのかもしれません。まぁ,それがキレるご老人とどう関係するのかは,やっぱりゴニョゴニョなんですが。

そういえば,本屋の袋にキレてたオッサンの一件後,同じところで本を買ったら,袋をくれなくなりました(もともともらわなかったんだからいいんだけど)。店員さん曰く「レシートを本に挟んでください」とのこと。こうなったのがそのオッサンのせいかは分からないけれども,そうだとしたらおそるべしです。反対に店の方も,そのオッサンにだけ袋をあげないわけじゃなくて,全員に袋をあげないってのは,なんつーか,システムとして硬直的だと思ったりもして……。情報の速度が高まると,価値観は単一化するということか……と,云々。

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