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最近読んでた本 - 密会,表徴の帝国,死を与える

2007年12月29日

年末積み本消化月間ということで,読んだものをぼちぼちメモ。まずは安部公房から。ネタバレ注意です。

密会 (新潮文庫)
密会 (新潮文庫)
posted with amazlet on 07.12.29
安部 公房
新潮社 (1983/01)
売り上げランキング: 188534
おすすめ度の平均: 5.0
5 密会
5 完璧な絶望の彼方
5 これが一番好きだな

本作品は,安部公房の作品の中でも分かりやすい(というか,とっつきやすい)部類に入るんだと思います。けど,その分,テーマは巧妙に隠されている。特に,結末の文句には,久々にゾクッときました。

僕は娘の母親でこさえたふとんを齧り、コンクリートの壁から滲み出した水滴を舐め、もう誰からも咎められなくなったこの一人だけの密会にしがみつく。いくら認めないつもりでも、明日の新聞に先を越され、僕は明日という過去の中で、何度も確実に死につづける。やさしい一人だけの密会を抱きしめて……

『密会』(安部公房,新潮社,1983年,p247)

「母親でこさえた布団」とか「明日の新聞」とかってのは,本編を読まないとなんのこっちゃだと思いますけど,閉塞した感じは伝わるはずです。『箱男』のテーマにもあったけれども、この閉塞感は読者をどこまでも絶望的にさせます。一方で,本作品の「僕」は,この閉塞した状況に自覚的なところが,箱男と違うところだったりします。異常と正常(これはお互いに相対的なもんなんだろうけど)の境界に立つ人間から見た閉塞状況。一度読むと,もう一度読みたくなる作品です。

続きまして。

表徴の帝国 (ちくま学芸文庫)
ロラン バルト Roland Barthes 宗 左近
筑摩書房 (1996/11)
売り上げランキング: 6696
おすすめ度の平均: 4.0
5 笑った〜
5 バルトを“読む”
4 エキゾチック・ジャポン

まぁ,こういうのも読んだよ,と。

本書はバルトの日本論ってことになっているけれど,日本について書かれたもんではありません。それはバルトにとっての日本(と呼ばれるもの)ですから,ここが違うとか,あそこがおかしいとかいった話は(あまり)当たらないんじゃないかと思います。それにしても,まぁいろいろとアレだとは思うんですけど。

さらに続きまして。

死を与える (ちくま学芸文庫)
J・デリダ 廣瀬 浩司 林 好雄
筑摩書房 (2004/12/09)
売り上げランキング: 76185
おすすめ度の平均: 4.0
4 やはりヨーロッパ文化の前提には一神教がある
4 デリダ(が/に)死を与える

かなり前に買ってここでも紹介していたけれど,積み本になってた本。

ハイデガーによると,責任=自由は,存在の「呼び声」として表現されるところ,デリダは,狂騒的な秘儀からプラトン主義,そしてキリスト教にいたるまで,西洋の「歴史」が,それらの神秘的な要素を抑圧し従属させてきた,としています。ここで,この抑圧・従属は,ある他者(例えばプラトン主義なら〈善〉)を,否定することではなく,内包しつつ主題化することなわけで,これが「死を与える」といったテーマと結びつきます。つまり,自分以外の他者が決して経験することができない「死」を先取りして,それを主題化するということ。洞窟の壁を照らす光の方向に振り向くという「移行」が,それまでの狂騒的な秘儀との関係では「喪」として捉えられるということ。……と,云々。

パトチェカ,ハイデガーの読解を通じて,西洋的な責任論を考察したお話。こゆのを文庫で読めるのは嬉しいですね。

積み本も随分片付いたし,また本を買いに行こうかなー。

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