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今読んでる本 - 法律学講座双書 工業所有権法〈上〉特許法

2008年01月18日

ちょいと調べ物があったので,久しぶりに法律書なんか読んでます。民事法の知識がないと読みづらいので,万人向けではないけれど,ちょいとご紹介。

法律学講座双書 工業所有権法〈上〉特許法
中山 信弘
弘文堂 (2000/04)
売り上げランキング: 22724
おすすめ度の平均: 4.5
5 特許法の決定版
5 特許法解説書の代表格
5 我が国知財法第一人者の教科書

この種の教科書(一部業界(!)では基本書ともいう)は,パッと見同じように見えるんですけれど,何冊か読んでいると,それぞれ機微があって面白かったりします。今日電車でニヤニヤしながら読んでいたのは,以下の一節。公序良俗の観点から特許を付与することが認められない場合はあるか,といった話。

公序良俗と特許との関係で、今後大きな問題となるのは、生物に関する発明であろう。外国では、特に新たな動物の特許を認めるべきか否か、という点をめぐって議論が盛んである。新しい動物を創造することは神への冒涜である、あるいは動物愛護という観点から禁止すべきであるという議論もあるが、これも先述のとおり、特許の付与を禁じてもそれを実施することは可能であり、神を冒涜することには変わりない。仮に、神への冒涜行為を国家として禁ずるとすれば、それを不特許としても意味がないのであり、他の法令により動物の創造自体を禁止する必要がある。特許法の限界を認識すべきである。

『法律学講座双書 工業所有権法〈上〉特許法』(中山信弘,弘文堂,2000年,p146)

「神を冒涜することには変わりない」という文句がツボにはまってしまいました。これは隠喩だと思う。

公序良俗に関する議論はどこもそうなんでしょうけど,これは法と政治(事実)の境界線上にある議論だったりします。だからこそ,ここら辺をうまく書き上げる先生は,よく考えてる人なんだろうな,とも。本書の場合はというと,引用箇所だけでなく全編にわたって,「実効性」や「立法論」といった実務的で実際的な論拠を採用する傾向がある感じがします。

これはいい意味で言えば実用的,悪く言えばアドホックといったところ。もちろん,あくまでも「傾向」ですから,法理的な問題を無視しているとかいうわけじゃありませんけどね。ただ,漠然と思っていた実際的でアドホックな印象が,上記引用に極まった感があったのでした。そこに筆者の人間味も感じるわけで,まぁニヤニヤなわけです。ニヤニヤ。

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