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今日読んでたマンガ - 3月のライオン(1)

2008年03月11日

本屋に行く度に買うのを忘れていたんですけれど,先日思い出してやっと購入。

3月のライオン 1 (1) (ジェッツコミックス)
羽海野 チカ
白泉社 (2008/02/22)
おすすめ度の平均: 4.5
5 主人公の影と周囲の優しさがマッチ
5 人の世はかくも冷たくまた温かい
5 人の生き方を考える触媒に働くようなマンガになってほしいなぁ

なんというか,これは羽海野氏の性質というか持ち前というか,そういった類のもんだと思うんですけれど,氏の読者を物語に導入する力は,すごいと思います。ぐいぐいと物語に引き込まれるのが分かります。

で,野暮ながらその理由を考えると,これは多分,登場人物の微妙な心の動きや人間関係をとても丁寧に描いているからなんだと思います。外部(作者)から与えられた筋書きでもって物語を駆動するのではなくて,登場人物の心の動きが自然に物語を駆動している感じがあるもんで(もちろん,プロットはちゃんと用意してあるはずなんですけど),リアリティの密度がとても濃いと思うんですね。

んでもって,さらに本作を読んでいて思うのは,「登場人物の心の動きを丁寧に描く」ということが,「AだからB」みたいな直線的な図式に収まるようなもんではない,ということです。おそらく,これはもっと重層的に表現されるんだと思います。

例えば,あかりが主人公(桐山零)を夕食に誘うシーン。遠慮して夕食への誘いを断っている主人公が,菓子パンやカップ麺を買い物かごに入れている様子をみて,こう言うのでした。

そっかあ
桐山君は私とヒナが作った料理より
カップ麺の方がおいしいのかぁ

表現上は笑いどころ,というか,クスっとくるところなんですけれど,あかりがなんで主人公を夕食に誘い続けるのか,ちょっと考えると,いじわるな言動の言外にいろいろな意味(母親のいない家?やせている子を太らせたい?)を盛り込んでいるように読めちゃうんですね。

ここで大切だと思うのは,「三姉妹の家に母親がいない」とか「単に年下をからかっているだけ」とかいった「正解」を描き込まないところです。あかりが上のように発言した理由については,「解釈の可能性」だけを残して読者に委ねています。ここら辺に自覚的であれ無自覚であれ,氏の作品はそうしたメタファーの使い方が見事だと思うわけで,そこにリアリティの濃さも表れているんじゃないかなあ……と。

まぁ,んな能書きたれんでも,ぐいぐい引き込まれることは請け合いです。おすすめ。

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