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新興ウェブサービスは「味の向こう側」を見つけられるか

2008年05月06日

こちらを読ませていただいて。

最近、ニコニコ動画を見る事にちょっと疲れてしまいました。

その理由は簡単です。

見る物が現在ほとんど無く、2007年の様な熱さが無くなってしまったからです。

”ニコニコ疲れ”になってみた。:いちのせレポート - CNET Japan

当たり前の話なんですけど,コンテンツビジネスはコンテンツを売り物にしているわけだから,見せるべきコンテンツがないと商売できません。でもって,ホリエモンの時期を頂点として,新興ウェブサービスが何を見せ物にしてきたかというと,「自分のところで作ったコンテンツ」ではない,他人が作った「既存の」コンテンツだった。

あたしゃ,他人が作ったコンテンツを見せることについて,クリエイティブ精神がうんたらとか,パクリがどうとかとかいった文句をたれるつもりはまったくありません(※一応,犯罪はマズイと言っておく)。けど,これをビジネスモデルとしてみた場合,「口コミ」とか「集合知」とかいった具合に美辞化された,他人依存のコンテンツ産業には,必ずといっていいほどこうした「疲れ」が出てきてしまう。「ニコ動おわた」とかいうことになる。

ニコ動をはじめとして,新興ウェブサービスの特徴は,「コンテンツそのものを見せる」といったストレートなサービスではなくて(自分で作ってないんだから当たり前だけど),メタコンテンツ的な視点から「見せ方」を提供するところにあるんだと思います。つまり,「見せ方を見せる」あるいは,「コンテンツの外側を見せる」ということ。

「コンテンツの外側を見せる」というのは,例えば,ニコ動なら,ある動画そのものを見せるのではなくて,「その動画を見ている私達」を見せます。他のサービスを見ても,コンテンツをストレートに扱ったものではなくて,どこかしらにメタ的な視点が入り込みます。だから,新興ウェブサービスは,統計学と非常に相性がいい。

で,こうした「見せ方の見せ方」ってもんは,当初はとても斬新なものに映るんだけれども,メジャー化するのと同時に陳腐化も進む,といった哀れな運命を背負っています。それは,新しい切り口(見せ方)だから面白いわけで,当たり前の切り口になってしまったら面白くなくなる,という当然の話です。

厄介なのは,「あー……もうこの見せ方も飽きられちゃったね」,となったときに,サービスのプラットフォームそのものが価値を落としてしまうところです。新興ウェブサービスは,大抵の場合「提供する見せ方」と「プラットフォーム」が不可分一体なわけで,一度おいしい「見せ方」を失うと,事業そのものがお釈迦になってしまう。

ここで,サービス事業者は何を考えるべきか。

上記引用では,コンテンツを充実させたり,機能を拡充することを考えているけれども,あたしゃほげほげだと思います。というのも,コンテンツを充実させるってことは,メタ視点だった新興ウェブサービスが「コンテンツそのもの」に回帰することを意味するわけですけれど,「コンテンツそのもの」の市場は競争が激しすぎるから。メタ視点の新興ウェブサービスは,そもそも,競争の少ないコンテンツ外の領域をドメインにしてきたからこそ成立できたわけで,「コンテンツそのもの」で勝負したら負けるに決まってる。

そんなもんで,思うんですけど,「コンテンツの見せ方」を提供する新興ウェブサービスは,その面白さ(うまみ)の向こうに,さらなる面白さを見つけ出していく他はないんだと思います。麒麟・田村にいわゆる「味のむこう側」といったところ。この点で,上記引用のプラットフォームを活用した展開(Amazon マーケットプレイスとの連携)あたりは,プラットフォームを変えないまま,現在とは別のうまみを模索している点で,いい線いってると思います(エラそうですが)。

ニコ動の場合,「見せ方」だけじゃなくて,基盤となっている技術についても新しいものがあるわけで,単純な口コミ投票的な新興ウェブサイトとは一線を画すところがあると思っていたりします。「見せ方」が廃れてもプラットフォームは競争力を維持したまま残る可能性が高いわけで,そこは是非とも活用してもらいたいところ(エラそうですが)。

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