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フーリエ解析の日々 - 『高速アルゴリズムと並列信号処理』

2008年06月15日

懲りずにまだやっているフーリエ解析。今読んでいるのはこちらです。

高速アルゴリズムと並列信号処理 (ディジタル信号処理ライブラリー)
谷萩 隆嗣
コロナ社
売り上げランキング: 447248
おすすめ度の平均: 5.0
5 基礎レベルからしっかり書かれている良書

画像解析の専門書ではなく,理論書として読んだのは『デジタルフーリエ変換 (ビギナーズ)』[Amazon]と『画像数学入門―三角関数、フーリエ変換から装置まで』[Amazon]に続いて3冊目。個人的には理論書にカテゴライズしたいけれども,理論書と実装本の両面を考慮している点が特筆すべきところです。

特に,FFT(高速フーリエ変換)のアルゴリズムについては,すでに有名な Cooley-Tukey のバタフライ演算はもちろん,実数値 FFT アルゴリズム(RFFT)や Rader-Brenner アルゴリズムについても,非常に詳細な説明があります。本書はフーリエ変換の専門書ではなく,信号処理一般を扱った本,という位置づけだったりするもんで,離散コサイン変換(DCT)やウォルシュ・アダマール変換(WHT)についても解説があるんですけれど,FFT アルゴリズムの解説には1章を割いています。決して分量の多い本ではないけれど(全240ページ),内容はとても充実。

大きめの書店を何軒か渡り歩いて,一通り類書を立ち読みしたんですけれど,本書では信号処理のお作法をある程度身に付けた後で読む本として,もう一段階掘り下げた議論を参照することができます。超おすすめ。

一方,ここまでの評価だけだと,本書の半分しか紹介していないことになってしまいます。本書の理論書的な側面は,上のような感じ。けれど,内容はまだあります。

いくら優れたアルゴリズムでも,最終的にはコンピュータで計算させるわけですから,適切な計算上のお作法ってのも考えなくちゃいけません。で,このときに話題に上るのが,計算機上で高速に演算させる方法と,計算機アーキテクチャの話です。

前者については,遺伝的アルゴリズムと各種高速変換のアルゴリズムの紹介があります。高速コサイン変換をはじめとして,数論変換(NTT)について扱ったもので,画像圧縮(最近は JPEG 2000 のウェーブレット変換の方が話題になってるけど)や,暗号処理に興味がある向きにも参考になると思います。

また,この頃は,逐次実行型(フォンノイマン型)のマシンを前提とした計算モデルではなく,並列実行処理もお手軽にできるようになってきました。せっかく並列処理ができる環境が身近にあるのに,こいつを使わない手はありません。この点についても,本書は1章を割いて説明しています。この他にも,シストリックアルゴリズムやらアレイ信号処理やらと,信号処理にまつわる計算方法が,ハード方面,ソフト方面を問わず解説があって,大変参考になります。

フーリエ解析だけでなく,信号処理に触れてみようと思っている方は,一読しておいて損はありません。参考文献も豊富に紹介されているので,信号処理一般を考える際の基点にもなるはずです。

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