Entry

システムが動かなくなるのは大抵新しくて曖昧な言葉が原因だと思う

2008年07月21日

書店でふらっと見つけた本を読んでつらつら。まぁ,最近こんな話ばっかなんですが。

ITアーキテクトのためのシステム設計完全ガイド 2009―今知っておきたい技術・製品・方法論 (2009) (日経BPムック) (日経BPムック)
日経SYSTEMS
日経BP出版センター
売り上げランキング: 3424

SOA だとかリッチクライアントだとかいった「新しい言葉」に翻弄されることと,日本特有(といってもいいと思われる)の「行間(空気)読め」の文化が合わさると,大抵いいことがない気がしてきました。「ここはさぁー……SOA なんだから(出来損ないな設計書だけど)行間読めよ」みたいな,意味不明の言葉が普通にまかり通るのはどうなんだ,と。いや,あたしの周りの話じゃないですけどね。聞いた話。

システムが動かなくなる理屈ってのは明らかで,技術が枯れる前に新しい「概念」が業界を席捲してしまうからだと思うんですね。こういう「概念=言葉」は,エライコンサルの人にとっては大切な飯の種ですけれど,製造部門に近づくほど,具体的に穴が見つかってしまいます。この穴を埋めてきたのが,「行間」なわけですけれど,まぁデタラメにも限度があるよ,とか思うこともあるわけです。

枯れたシステムというのは,システムの信頼性を維持しながら,性能を向上させているシステムのことです。例えばですね,2ちゃんねるの BBS システムとか,Google の検索システムとかいったもんは,システムとして成功している部類に入ると思うんですけれど,これは自分のところのビジネスモデルに特化したシステムを,洗練させてきたからだと思うんです。事実,2ちゃんねるの BBS は,掲示板だけに特化させて C で書かれているそうですし,Google も独自のデータベース(Bigtable)や分散ファイルシステム(GFS; Google File System)まで作っている。業務とシステムを洗練させていった結果として,それ自体が競合サイト・企業に対する強みになっている。

これに対して,一般的に,新規の基幹業務システム案件で,枯れたシステムが問題とされることはほとんどありません。「ペーパーレス化」とか「3層C/S化」とかいった,「業界的=コンサル的」にホットな話題が問題となってしまう(右の言葉はそれほどホットでもないですけど)。業務に特化させるというよりは,新技術の実験場になってしまっている気がするわけです。今までまっとうに動いてきた旧システムの信頼性を,ほとんど引き継がないまま新規システムが提案され,経営層はしつらえられた実験場にまんまと参画してしまう。

そこに技術の積み重ねはないわけで,あたしから見る限り,これは大変な賭けだと思うんですね。

一方で,製造部門の人間が過去の信頼性を引き継げるのか,といったら,それも微妙なんじゃないかと思ったりもします。今時のホットな話に追従してきた今時の実装部隊が,X Window System や COBOL を使った旧システムの改修案件なんかを拾えるんだろうか……とかとか。結局,こうした技術的な断絶はどこかで埋める必要があったりするわけで,この業界一般に言える課題なんじゃないかと思ったりもします。

2ちゃんねるや Google は,システムだけでもって食ってるところはあるから,幾分か例外なのかもしれないけれど,既存のシステムを信頼できる枯れたシステムに育てるってのも重要なんじゃないかなぁ……と,つらつら。

Trackback
Trackback URL:
Ads
About
Search This Site
Ads
Categories
Recent Entries
Log Archive
Syndicate This Site
Info.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Movable Type 3.36
Valid XHTML 1.1!
Valid CSS!
ブログタイムズ

© 2003-2012 AIAN