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今読んでる本 - 『要求を仕様化する技術・表現する技術』

2008年07月29日

主に PM/PL 本だと思うんですけど,実装部隊も読んでおいて損はないはずです。

要求を仕様化する技術・表現する技術 - 入門+実践 仕様が書けていますか?
清水 吉男
技術評論社
売り上げランキング: 9554
おすすめ度の平均: 3.5
5 説明が冗長という声もあるが・・・
4 "仕様化"を横断する筆者独自の見解
3 要求仕様の重要性
5 システムを使う立場の方にもおすすめ
3 とにかく読みづらい

ソフトウェアは何かの目的のために作られるわけで,その目的に資さなければ,存在価値はありません。で,その目的のことを「要求」といって,要求にしたがってソフトウェアの動きを決めることを「仕様化」といったりします。いわゆるウォーターフォールモデルでは,最上流の工程。大抵,こゆことをやる人は,実装部隊の2倍も3倍もお給料をもらってる人だったりします。

また,要求と基本仕様に齟齬があって,ソフトウェアの目的を達成できないことを「仕様バグ」とかいいます。この「仕様バグ」。バグの中では一番厄介で,工程がはじめに手戻りしちゃいます。要求を決める人がたくさんのお給料をもらうのは,こうした厄介なバグに対する責任=リスクを負っているからなんですね。

……と,以上までが,教科書的な話。実際はどうかというと,お給料をたくさんもらうのは確かなんですけれど,それに対する責任を負っている外部設計者がいるのかというと,なかなかそうでもない気がします。つか,まともに設計工程に移れる要求仕様書をあたしゃ見たことがない。先日もちょろっと書いたんですけど,要求も仕様もグニャグニャな場合,その行間を埋めて(空気を読んで)なんとか動くものにするのは,大抵,それより後の詳細設計者や実装者だったりするわけです。

潜在的には仕様バグのはずなのに,「気が利かない設計/実装」みたいな具合に,設計バグ/実装バグとしてかっつけられてる人を見ることもあるわけで,こゆのはもう,哀れとしか言いようがない。責任負ってないじゃんっつかね……なんつかね……。

で,本書は,本来的にはそうした「ちゃんと仕様を決められない人」向けの本です。「向けの本」とかいうより,「いいから読め!」と,命令口調で言いたいです。読め!そして,「内容が冗長」とか「読むのがしんどい」とかいった御託をたれてる Amazon レビュアーの連中には,決して PM/PL をやってほしくない。この程度の日本語を読めない人が,まともに仕様書を読み書きできるとは思えません。

本書が基本においているソフトウェア開発のプロセスモデルは,CMMI(Capability Maturity Model Integration)と呼ばれているものです。これは,ソフトウェア開発プロセスの成熟度を表す指標で,段階を追って効果的で効率的なソフトウェア開発を目指すものになっています。本書は,この成熟度の指標で一定程度の水準を確保するために必要な,「実践的なノウハウ」を提案している,と言って,おおむね間違いありません。

もちろん,ノウハウですから,具体的なアレコレがあるわけで,開発の現場とお作法が異なることもあるはずです。けど,おそらく重要なのは,「要求仕様書は成果物であり,したがって事前チェックの対象となるものであり,かつ,下流工程における判断の正当性を担保するものであり,さらに,事後検証(トレース)の対象となるものである」と,認識することじゃないでしょうか。多分,他の業界の人からしたら,そんなの当たり前じゃないか!とかいった話になるんだと思うんですけどね。

実際,某現場では,要求仕様書が,そこらのメモ書きと同格に扱われているようなこともあるんだとか……。こんなんでまともな開発ができるとは思えません。どう設計/実装すれば正解なのかが分からないプロジェクトが,無事にゴールにたどり着けるとは思えないからです。つか,そういうプロジェクトには,そもそもゴールなんてないんじゃないだろうか。

今のところ,2/3くらい読んだんですけど,残りの1/3はかなり実践的な領域(Excel の利用方法とか)に入っているので,ひとつのアイデアくらいに読むつもり。実装部隊の向きにとっては,自分の仕事が要求との関係でどういう位置づけにあるのか,どういった仕様書(それに基づいた設計書)があれば作りやすい環境になるのかを探れる好著だと思います。

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