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週末読んでたマンガ - 『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (2)』

2008年08月19日

この巻で完結です。Amazon レビューでは,1巻がひどい書かれ方されてたんですけど,どこが疳に障ったんだろ。単純に滝本ファンが怒ってるだけなんだろうか。

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (2) (角川コミックス・エース 114-4)
佐伯 淳一 滝本 竜彦
角川グループパブリッシング
おすすめ度の平均: 4.0
4 1巻よりも満喫できました。

それはともかく,こちらのサイトでは,1巻をこんな風にレビューしていたのでした。

あのですね。あたしゃ思うんですけれど,この作品は,マンガ的リアリティとか,それを求めるオタク諸氏に対する滝本氏なりの批評-批判だと思うんです。(snip)

と,まあそんな意味を含めて読むと,本作品は,かなりメタ的な視点で書かれている。本書の表紙は,金網フェンスを隔てて,主人公がヒロインを眺めているシーンが描かれているんですけれど,そこら辺の描写も象徴的だと思ったりします。

qune: 週末読んでた漫画 - ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(1)

1巻のレビューでも書いたんですけれど,この作品で特筆すべきなのは,登場人物に入っているはずの主人公が,登場人物としてまったく演じ切れていない気持ちの悪さです。で,仮に主人公に感情移入なり立場を移すなりして考えると,チェーンソー男にまつわる「物語(一般)」と,「主人公=私」の関係ってのは,あらかたそんなもんなんでね?という話だったのでした。

一方で,この「メタ的視点」というのは,あたしが勝手に解釈したことなんですけれど,本巻によるとあながち間違っていたわけでもないみたい。

原作執筆時の意図としては『メタ物語、地味かつ深い文学性、そういうのをキャッチーでポップでファニーなお話にしたい!』という熱い想いがあったような無かったような……。

「漫画版『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 』を読んで思ったこと」(滝本竜彦,角川書店,『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (2)』,2008年)

本巻では,能登と主人公の関係,それと,チェーンソー男と主人公の関係を通じて,「物語」と「私」の関係が,もう少し深められています(いるように読めます)。

この作品のチェーンソー男ってのは,どこからどう見ても分かりやすい悪者なわけで,そうなるべく「作り出された」キャラクターだったりします。で,問題なのは,そのキャラクターに勝つのか負けるのか,といった「物語内」のアレコレではなくて,「どこからどう見ても分かりやすい悪者」の物語,つまり,「お約束」とでも言うべきものに対して,主人公=私がどのような態度をとるのか,ってなことだと思うんですね。

『NHKにようこそ!』にしてもそうなんですけど,滝本氏は,こうした「お約束の物語」に自閉していくことに,何とも言えない忌々しさを感じているんじゃないか,と思うことがあります。「私の内で作られる物語」は,ある意味で必然であり,決め付けであり,そして諦めのタネでもあるわけで,それが「平凡な日常」のタネにもなっている……とか云々。物語に自閉しないで,うたかたの現実をちゃんと生きようぜ!とか……ほげほげ。

もちろん,ここに言う「現実」というのは,マンガの外の世界という意味ではなくて,物語化(お約束化)する前の段階ということです。定式化するよりも,感動するよりも,認識するよりも,知覚するよりも,前の段階。そういった,経験(?)の最前線のこと。お約束にはまった「平凡な日常」から見たら,最前線で走り抜けるソレは,たしかに希望なのかもしれません。

とまあ,そうして読むと,結構カッチリとはまるところにはまってる感じがするわけです。ま,なんつんですか。脱物語とか言えばいいんでしょうか。

自分の話に引き寄せて書いておくと,この「最前線を走る」ってことは,ある意味で「孤独になる」ことなんだと思っていたりします。物語として共有される前段階を走るわけですから,孤独にもなりそうだな,と。あたしゃここしばらく,「オタクはもっと孤独になるべきだ」とか言ってるんですけど,それは,つるんで作り上げるお約束的な解釈や,メディアやオーソリティの評に惑わされてるんじゃねーぞってなことだったりします。オタクが疎外されていた頃を知ってるから思うのかもしれませんけど,「オタク的物語」なるもんほど,みっともないもんはないと思ったりするわけで,「アキバ文化」とか聞くと,「タイガイニセーヨ……」とか思ったりもするわけです(随分話が逸れちゃった)。

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