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今日読んでた本 - 『ロスジェネ 別冊』(の脱線話)

2008年10月20日

本屋に並んでたから,読んでみました。創刊号では左向きをほのめかすだけだったけれども,こちらは「超左翼」とか銘打っている……。やや引きつつも読む。

ロスジェネ 別冊 2008―超左翼マガジン (2008)

ロスジェネ
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別冊では秋葉原の例の事件を取り上げたシンポジウムが,ふたつ掲載されています。おそらく「ロスジェネ」は,労働問題を中心とした社会問題について「連帯」を訴えることを本旨にしているようなのだけれども,個人的には「左翼的な連帯」なるもんからは距離を置きたい感じ。

あたしは政治的には「やや左」だと自覚しているんですけれど(今時右も左もない気はするけど),「左翼的な連帯」ってのは,そもそも原理的に無理なんじゃないかとすら思っていたりします。というのも,左翼という立場も,「立場」である以上モノ語るわけで,その言葉から「漏れる人たち」が必ず出るからです。例えば,「ワーキングプア」とかいった言葉が名指すものには,必ず制度的(あるいは「べき」論的)な「意味」が脚色されるわけで,本当の意味での(事実の水準=語りえない水準にいる)ワーキングプアを取りこぼしてしまう。左翼的な立場なるもんが,「漏れる人たち」を尊重する立場だとした場合,その「立場」を定立しっちゃったがために尊重されない人が生まれるのなら,悲しいことに自己矛盾です。

言葉というものは,本質的にそういうものだと思うから仕方がないのだけれども,だからこそ言葉でもって「救う」とかいった話が出てきた時には,ある意味「制度的」「ガス抜き的」(もっと悪く言えば)「偽善的」な要素を孕みうることに注意しないといかんとか思うわけです。つことで,左向きの態度においては,あまり「連帯!連帯!」とか言いたくない。

ちょっと分かりづらいと思うので,もう少し具体的に言うと,例えば,麻生首相が秋葉原で演説しますよね。すると聴衆として「オタク」と名指されている人たちがバカ騒ぎしてる姿も映されますよね。で,こういう状況,言葉の水準では,こうやってバカ騒ぎしている連中が「オタク」と名指される人になるわけです。麻生首相の「オタク」に対するメッセージは,あの連中に対して発せられている。

しかし,事実の水準におけるオタクはあんなにバカ騒ぎしている連中(ばかり)じゃないし,あんなことやってる連中はオタクとは別の趣味を持った極少数でしょう。テレビを見ていて「それは違うだろう」と思ったオタク諸氏も多かったんじゃないでしょうか。しかし,あそこでバカ騒ぎしていた連中が,世間的・制度的には「オタク」と称される人たちになるわけで,日本の文化を担っちゃってる人になる。つまり,彼らは良かれ悪しかれ制度的な位置を占めることになるわけで,今後,オタク保護政策みたいなもんが実施される時には(ないだろうが),あの連中に対して行われることになる。一方,「それは違うだろう」とテレビの前でつぶやいていた,事実の水準における「オタク」は忘れられる(というか,認識すらされていない)。

以前このサイトで,バカ騒ぎしている連中を「去勢されている」と書いたんですけれど,まぁ,つまるところそういう話です。彼らは制度的に去勢されている。

ここからは個人的な戦略の話ですけれど,こうしたマイノリティ論ってのは,その話自体がメジャーになってしまった段階で,マジョリティに取り込まれて去勢されてしまうもんなんだと思っていたりします。マイノリティは,マジョリティから見られてはいけない。そうした意味で言うと,今時のオタクブームなんかに乗じて,テレビで踊ってるようなのは,少なくともオタクとしては去勢されているんだと思っていたりする(マイノリティが去勢されるってのもアレなんだけど)。

qune: マイノリティ論としての若者論

ロスジェネが名指す「若者」や「ワーキングプア」には,悪意はないわけで,むしろ善意の塊なわけですけれど,立場を定立して言葉にする以上,その言葉には制度的な意味が織り込まれてしまいます。必ず漏れる人がいる,というのはそうした,制度的な意味から漏れるの人のこと。そしておそらく,連帯しても,そういう人は救えない。というか,より疎外される。

なんだか,読後の感想を書くつもりだったのに,話が逸れてしまった。読後の感想については,また後日。

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