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最近違和感がある言葉

2008年12月01日

2つ並べて挙げておこう。

  • HTML や CSS で何か書くことを「コーディングする」ということ
  • フルスタックフレームワーク」という言葉

まず前者から。

HTML はプログラミング言語か,といった話が少し前にあって(参照:HTMLはプログラミング言語じゃない : 雑記帳 : der Gegenwart),それと少し関わりがあるのだけれども,HTML で何か書くことを「コーディング」あるいは「実装」というのは違う。いや,違うと思った方がいい。IT用語辞典の説明では,「プログラミング言語を使ってソフトウェアの設計図にあたるソースコードを作成すること。」としているので,プログラミング言語じゃない HTML で何か書くことがコーディングじゃないことは明らかです。まぁ,ソースコードを設計図というIT用語辞典の説明も怪しいんだけど。

で,思うのは,コーディングなるもんが上のような「定義」に当てはまっていないということではなくて,そゆ言葉に釣られたあなたが,安く買い叩かれてる可能性があるぞ,ということ。

HTML を書く人や仕事を卑下するわけでは決してないけれども,HTML だけを書く仕事の人月単価は,Java や C のそれ(つまり本来のコーディングの人月単価)と比べて相当低い。具体的な数字はないけれども,参考までに「ついに出たか「大量HTMLコーディング専門工場」 (Kobakenジャーナル)」を参照。本来のプログラマの人月単価すら,一般的に見たら低いと言われているくらいだったりします。

「入力作業」ではなく「コーディング」というと,ITの世界らしきもんに入って高級な気分になるかもしれません(実際,業界自体そんなもんじゃないんだが)。しかし,多くの場合,安く買い叩かれているのではないだろうか。現に「コーディング」している本人が自分で言うなら,納得づくだろうからまだ分かる。しかし,コーディングという「言葉(の雰囲気)」を売り物にした,コピーなり宣伝文句なりは,上げ底して労働力を集めている感じがして,非常に違和感があります。

もうひとつ。これは今日知った言葉なもんで,我ながらアンテナが伸びてないと思うんですけど,「フルスタックフレームワーク」という言葉。「Struts2 をフルスタックで使う」とかいった具合に使うらしい。元は「Full Stack vs. Glue」あたりからだろうか。

あたしゃ日頃 C やら C++ やらでゴリゴリプログラムを書いているんですけれど,そういう人からすると,スタックはデータ構造のひとつで,特にコールスタックを指していたりします。んなもんで,最初フルスタックと聞いても,意味が分からんかった。

で,おそらく,この言葉に違和感を持つのは,(特に日本語として持ち込まれた段階で)上流感覚がチラ見できちゃうとこなんだと思う。スタック構造とかコールスタックとかが,開発用語に含まれていない人が使う言葉。そうでなければ,スタックという重要な用語を新しい言葉で隠蔽しようとは思わないんじゃないだろうか。必要ないから意味を上書きしている,と。もちろん,Java にもコールスタックがあって,スタックを超えると StackOverflowException が投げられます。投げられるんだけど,Java の人って,あまりスタックのこと気にしないんだろうか。

この頃の情報技術周りにおける新しい言葉っつのは,なんつか,難しい概念を指し示すものではなくなって,一般的な親しみやすさを志向している感じがしています。ほとんどマーケティングのコピーに近い。しかも,こうした言葉のほとんどには,「先進的」とか「高度な技術」とかいった「演出」が施されている。しかし実際のところ,この言葉の志向するところは,人月単価を低く抑えることが目的だったり,べらぼうな納期でもなんとかやれるだろう,な話を通すことが目的だったり,とかいったところにあるんじゃないだろうか。

こゆ傾向が強まり始めたのは,おそらく .net あたりからだと思うんですけれど(開発スタイルとマーケティングコピーがセットになったという意味で),フレームワークや LL が流行り始めてから,さらに強くなっている気がします。それがいいのか悪いのか,あたしゃ今のところ判断がつかないけれども,違和感を持つのも確かだったりするわけです。

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