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推定無罪つらつら

2009年03月23日

こちらの話なんですけれど,なんか話がコマコマしてきている気がする。

ただし国家が国民の身体の自由を奪うのはあくまで例外なので、被告人を有罪にする=刑務所に入れるためには有罪の主張をする検察官が、被疑事実について立証しなければならない、ということです。裏返していえば、「被告人は自分が無罪であることを主張立証する必要はない」ということです。

別に、有罪判決が確定するまでは被疑者や被告人を違法であるといってはいけないという原則ではないのですね。

「推定無罪」の意味、誤解してませんか?? - 院生兼務取締役の独り言

無罪推定原則を,公判における裁判官の心証を拘束する原理であるとするのは,刑訴法(の中の公判法)における狭義の定義なので,その定義に従う限り,まぁそういう結論になるんだろうな,とは思う。

で,ひっかっかるんだけれども,福島発言と無罪推定原則を公判法上の定義に結び付けるんだったら,この概念から,捜査法上の規範は出てこない(何も言えない)んじゃないだろうか。例えば,次のような規範は言えない。

小沢さんの秘書は違法な行為をした可能性が高い=「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があったからこそ逮捕されたわけです。

ですから麻生総理の「明らかに違法だったがゆえに逮捕になった」という発言は、当然のことを言ったまでで、何ら騒ぎ立てることではないのです。もし検察が明らかに違法ではないのに逮捕したのなら大問題ですけれど。

「推定無罪」の意味、誤解してませんか?? - 院生兼務取締役の独り言

行間を読むと,これは多分,逮捕要件の話をしているのだと思う。逮捕要件に(狭義の)無罪推定原則は働かないから,無罪推定原則とは無関係というのもアリなはず。ただ,無関係であることをもって「首相が違法と言ってもいい」という規範も直接には出てこないので,もうひとつ理屈を噛ませる必要があるはずです。

で,問題なのが,引用でさらっと「『被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由』があったからこそ逮捕された」とする理屈です。これ,誰がどうやって判断しているの?

民法や刑法といった実体法と違って,手続法で問題になるのは,ある事実に対して「誰がどうやって判断するのか」ということだったりします。ここで,逮捕状が発布されているということは,捜査機関の嫌疑に対して,令状裁判官が「嫌疑あり」としたから逮捕されたことになります。それでは,この嫌疑はどの程度の嫌疑なのか。

このことは,少し前にも書いたけれども(参照:qune: 刑事司法に対する一般的な認識ってのはこういうもんなんだろうな,と思う),逮捕要件としての嫌疑の相当性なんつのは,本当に大したことない(疎明で足りる)。なんで大したことない嫌疑でしょっぴくことができるのかというと,一般には,「逮捕が緊急を要することが多いこと」(必要性)や「身柄拘束の期間が比較的短いこと」(許容性)が挙げられています。

で,「政治的に」問題となっているのは,この程度の嫌疑でもって,「政治的に」しかも「個別事案について」首相が「明らかに違法」というのはどうなんだい,という話なんでねいのかな。

なんか,公判原則の話やら,実体法/手続法の証明責任の話やら,嫌疑の疎明と有罪の立証の話やら,政治上の発言の妥当性の話やらがごっちゃになってる気がする。気のせいか。

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