Entry

刑事法かじった人は使わない言葉

2009年03月31日

世の中の非刑事法系の人が法律家チックな表現をしようとして,刑事法かじった人間が聞くと「その用法はありえねぇ!」と思うものが少なからずあります。あたしが刑事法系を代表してるかはわからないけど,あくまで主観で,違和感を感じた例をいくつか挙げてみます(参照:理系は使わない言葉)。

  • 判決を下す
    法律上,判決は「言い渡す」ものであって,お上がくれてやるものではありません(政治的にはくれてやるもんなんだけど)。はるか昔は下すもんだったみたいなんですけどね。平民根性もほどほどに。
  • 婦女暴行
    刺激的な用語を避けたマスコミ用語なんだろうけども,法律界隈では「強姦」といいます。暴行という行為は別にあるので,どっちを指しているのか分からなくて,とても紛らわしい。最近はちゃんと書く新聞もありますよね。そういえば学生の頃,「『強姦』と言っても何も思わなくなっている自分に愕然とした」みたいなことを言ってる女子がいて,笑ったことがある。(ちなみに,パソコンで漢字変換すると「恋」より先に「故意」が候補に出てくる,というのは,よくある内輪ネタ。)
  • 容疑者
    「容疑者」という人は法律の世界には出てきません。近い言葉で「被疑者」という人は出てくる。同様に,刑事事件では「被告」という人も出てこない(マスコミには出てくるが)。「被告人」なら出てくる。「被告」は民事に出てきます(紛らわしい)。
  • 法律を犯す/侵す(以下,「犯す」で統一。)
    これは微妙だけれども,個人的には違和感がある。そもそも「犯す」という言葉は,(少なくともあたしは)法律の文脈で使わない。これは違法/適法を判断する順番が原因で,法律的な考え方では,まず行為(何の評価も得ていない動作)があって,それが法律上のどの類型に当たるかってな順番で評価するからだと思っています。法律的な評価を得る前の行為には,違法も適法もないわけで,法律犯しつつ行為するという状況は,理屈として考えづらい。また,「法律」そのものには何も規範的な意味がないので(法律に書かれている条文(法文)に規範的な意味がある),やっぱり「法律を犯す」は変。一方,事後的な判断であることが分かる「違法/適法な行為」という言い方はする。また,抽象的な規範に違反するという意味で,「法を犯す」(罪を犯す)という言い方も,法律界隈ではあまり聞かないけれど,まあアリだと思う。
  • 違法 == 犯罪
    違法な行為が罪に当たるとは限りません。実は,犯罪にならない違法な行為に対する制裁(社会的制裁)の方が,国家的な刑罰より苛烈だという噂も。
  • 勝手に作った権利
    巷の話ではいろいろな権利が飛び交ってますけど,独断で権利を作らないでください。

ちなみに,「以上でも以下でもない」の話は,次の話が理系的な解決(解釈)として優れているなぁ,と思いました。こゆ「適用のセンス」みたいなもんは,理系の人でも普通はなかなか見られないと思う(よく知らないけど)。

とりあえず以上と以下の慣用的な意味はおいとくとしても、空集合とは限らない。
「AがB以上でもB以下でもない」というとき、
AとBの間に順序関係が定義されていないことのほうが多いんじゃない?

http://anond.hatelabo.jp/20090330183554
Trackback
Trackback URL:
Ads
About
Search This Site
Ads
Categories
Recent Entries
Log Archive
Syndicate This Site
Info.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Movable Type 3.36
Valid XHTML 1.1!
Valid CSS!
ブログタイムズ

© 2003-2012 AIAN