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和歌山カレー事件雑感

2009年04月21日

死刑が確定したそうだけれども,どうもなんだかなあ,というとこがある。というか,この事件が起きたのは,あたしが刑訴法を勉強し始めた頃なんですけれど,当初から,ちょっと「なんだかなあ」なところがあったのでした。そうか,死刑になったか……。

和歌山市で98年7月、夏祭りのカレーに猛毒のヒ素が入れられ、4人が死亡した事件などで殺人罪などに問われた林真須美被告(47)の上告審で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は21日午後、弁護側の上告を棄却する判決を言い渡した。これにより、林被告の死刑が確定する。

asahi.com(朝日新聞社):林被告、死刑確定へ 最高裁が上告棄却 カレー事件 - 社会

この事件が自白事件じゃないってのは,あたしゃあまり問題にしていないんだけれども,証拠が間接証拠(状況証拠)ばっかってのが,きな臭い。もちろん,証拠法上(訴訟法の証拠編のこと),間接証拠から事実を推認する(推論して認定する)ことはできます。しかし,一般的な間接証拠の使われ方は,直接証拠を補強する目的で使われることが多かったんじゃないだろうか。実務を知らないからよく分からないんだけれども。いずれにしても,一連の裁判過程における各裁判所の判断を見る「視点」は,上記のような推認過程が適切に行われているか,というところにあるんだと思う。

この点について,最高の判断は,高裁の推認過程が適法である(刑訴法411条所定の事由に当たらない)という判断だから,最高の判決文だけを読んでも適切な判断か評価することはできません。当該証拠から合理的に推論して当該犯罪の事実を,合理的な疑いを挟むことなく認定できるのか。追認した先である高裁の推認過程を見る必要があります。ここではやらない(できない)けれど。

もちろん,被告人にかかっている被疑事実は他の被疑事件をみても(社会的には)十分にあやしい。それはそうなんだけれども,あたしが今後の刑事裁判に影響を及ぼしそうで危険だと思うのは,「たったこれっぽっちの証拠で事実認定できてしまうのか」ということだったりします。その意味で言うと,あたしが問題にしているのは,被告人の被疑事実云々というよりは,むしろ「この裁判で手続的正義が実現したのか」というところにある。

報道ステーションを見ていたところ,このニュースのすぐ後で,足利事件の DNA 鑑定に不一致が云々な話が取り上げられていました。ほのめかしてるなー……とか思うんだけれども,科学的証拠の信用性の話と間接証拠の推認過程の話は別の話なわけで,なんか変な風にほのめかされてるなー……とも思う。

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