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今日観た映画 - 『バーンアフターリーディング』

2009年05月06日

観てきました。第一印象は,「ジョン・マルコヴィッチ年取ったなぁ……」だった。『マルコヴィッチの穴』以来だったので,当たり前っちゃ当たり前なんですけど。

バーンアフターリーディングの図

この作品は,いわゆるブラックコメディ。個人的には,かなりニヤニヤと笑わせてもらったんですけど,隣の中学生(高校生?)はやや引いていました。ブラピが好きとか,コーエン兄弟の作品とかいうだけで観に行くと,多分ゲンナリして帰ってくることになるはず。

ブラックコメディとか一言で言ってもピンとこないと思うので,同じような例を挙げておくと,古典落語に「腕喰い」(かいなくい)ってのがあります。これが笑える人は,本作も笑えると思う。「赤子の腕を食うくらい何でもない。私は親の脛をかじってた」ってのが,オチなんですが……。中学生のときに初めて生で聴いた落語がそれだったんですけど,同級生はドン引きしてた。

そゆことで,この手の作品は,観る人を選ぶと思うんです。いや,鑑賞者の質とかいった話ではなく,バッチリはまる人とドン引きする人の2種類にきれいに分かれる,といった意味で。幸いなことに,あたしはかなりニヤニヤさせてもらった。一方,さっき帰ってきて,この作品の他の評も見てみたんですけれど,プロの評論家でも戸惑ってる評が多かったみたい。ブラピの出演時間が少ないとか,CIA 批判がどうとかとかあったけれども,この作品はそゆとこで楽しむもんじゃないと思うんですよ。

これから楽しむ方のガイドとして,少しそれっぽいことを書いておくと,この作品に出てくる固有名詞や役どころは,本作を楽しむ上であまり意味がなかったりします。重要なのは,それぞれの役どころで代表させている「属性」です。

例えば,本作に出てくる CIA といった国家的な諜報機関。これ,別に CIA である必要はないんですね。どこか権威のある銀行とか大学とかでもいい。とにかく,「なんとなく権威あるとされているところ」みたいな「属性」だけがあればいいんです。また,ブラピのアホっぷりも,筋肉バカで脳みその足りないブラピそのものを見せたいわけではなくて,典型的なバカキャラを抽象化して示してるだけだったりします。んなもんで,別にブラピは,筋肉バカである必要はない。「脳みそ足りない人」という属性を示したいだけで,筋肉バカといった具体的な役どころは,それを代表させた仮の役どころ,というわけ。

同様に,本作で起きる出来事,例えば殺人なんかについても,「殺人事件そのもの」を描いているわけではない。「なんとなく権威あるとされているところ」である CIA が,「厄介で面倒くさい」と思うような出来事だったら何でもいいんです。もちろん,殺人そのものについて意味はないから,倫理的な問題なんつのも浮上しません。ブラックユーモアつのは,そゆもんなわけで,倫理性を取っ払ったところに見えるおかしみを取り上げたもんだったりします。

本作が面白いのは,そういった「属性」相互が形作る「構造」でもってストーリーを組み立てているところなんだと思います。特に面白いのが,CIA の対応で,「金なんかやっちまえ」とか「亡命させちまえ」みたいな投げやりな態度が笑えます。どんなに「大変なこと」(という属性を持った出来事)が起きても,あー……単純に面倒くさいんだなあ……みたいな対応。ニヤニヤしてしまう。

また,個人的に本作は,ブラピの派手さとは裏腹にジョン・マルコヴィッチが非常にいい味を出していたと思います。「属性」だけしかないはずなのに,かもし出されるリアリティ。これはすごいと思った。久しぶりに,『マルコヴィッチの穴』を観直そうと思ってしまいました。

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[2009年05月15日 20:24] 「バーン・アフター・リーディング」見所はブラッド・ピットの鼻... from soramove
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