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気になってること - 経済学上の規範理論とか

2009年05月11日

あまり首を突っ込むつもりもないんですけれど,少し気になってるのでメモ書き。

経済政策上の話なんだか理論上の経済学の話なんだかよく分からないんですけれど,経済学まわりでルールの話が出てくることがあります。ルールというのは,ま,難しげな言葉で言うと「規範」のこと。

で,規範について専門的に扱っている学問領域には,法(律)学ってのがあるんだけれども,どうも,経済学まわりで話されている「規範」は,法学を経由していない気がするんですね。つか,「気がする」ではなくて「経由してない」。というのも,法学的に言ってトンデモな話が少なからずあるからです。これは,政治的な立場(右とか左とか)以前の問題で,理屈としておかしいという種類のもの。経済学上の「規範」なるもんは,制約条件のひとつで,パラメタの類としてしか扱われてないんじゃないだろうか。

とはいえ,一般に,規範を語る上で必ず法学的な理屈を踏まえなくちゃいけないかというと,あたしゃ別にそうは思っていなかったりします。一言で「規範」といっても,適用領域や規範の目的はさまざまだからです。これらすべてについて,法学が扱うことはできないし,扱う必要もありません。

ただ,踏まえないなら踏まえないなりに,何か別の拠りどころがあるんだろう,とは思うわけです。規範に関する一般理論のようなもの。特に,「全体」とか「一般」とかを対象にする経済学上の規範については,問題領域が法学のそれと大きく重なります。

つことで,経済学には,そもそも,こゆのがあるんだろうかと思うわけです。やってる人には失礼だけれど,ない感じがする。それは,話の端々でいきなり哲学なり思想上の概念なりが出てきたり,政治上の概念が出てくるところに感じます。哲学・思想上の言説や,政治上の言説ってのは,言ってみれば(比喩的に言えば)ポジショントークなわけで,拠りどころとしての正当性を担保する仕組みが非常に脆い。政治経済学の話で,口を開けばサッチャーやセンを出す人がいるけれど,規範理論つのは,そうした属人的なものであってはいけないと思うわけです。

あたしゃ,経済学については素人で,教養でミクロとマクロを少しかじっただけだったりします。少しだけ厚生経済学なんかも覗いたけれど,ま,そんな感じ。んなもんで,経済学上の規範理論があるのかや,(あるとして)それがどんなものかは,ほとんど知りません。

この点,あたしが知ってる乏しい知識の中で言うと,パレート効率あたりの話なんかは,ある規範を基礎付ける「根拠」や「理由」にはなります。しかし,それはあくまでも規範を基礎付ける概念であって,規範理論とは言えないのだと思う。規範理論というのは,「なぜパレート効率を規範を基礎付ける根拠にできるのか」という問いに答える,根拠の根拠(基礎理論)のことです。ある規範の良し悪しを評価するための理論と言ってもいい。

法学の場合,実定法学(実際にある規範を研究する領域)の他に,基礎法学という領域があります。法哲学(法理学)もその一分野。思想・哲学とも少しは通じているんですけれど,も少し法学に特化した領域です。こゆのは,経済学にはないんだろうか。

書店に寄ったときに,折を見て経済学の規範理論みたいな本を探してるんですけど,今のところ見つかっていません。こゆもん,誰も考えてないんだろうか。そんなはずはないと思うんだけれど。

(少し追記)

法学で規範を考えるとき,耳タコで言われることに「バランス感覚」ってのがあります。ある規範を定立したら,利益を受ける人もいれば,不利益を受ける人もいるので,その両方に対して説得的な理由を考えなくちゃいけない,という話です。もちろん,この命題自体も規範理論上の議論に乗っかっている。ある問題を解決するためだけに規範を定立すると,極論的な規範になりがちで,あまりいい議論とは言えません。極論つのは,例えば刑事法で「みんな死刑!」なんていうやつ。

また,バランス感覚をもって規範を語る場合,当たり前のように必要になるのが,規範を定立した後の世界を想像する力です。政治上の立場とは別に,規範を定立するということは,それ自体後の世界をどのように構築していくのかといった話なわけで,政治上の議論はそれを踏まえるところから始まるもんだと思ったりします。

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