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Google の Android 向けのアプリビジネスはなぜ魅力的か

2009年08月06日

こちらを読んで素朴に思ったこと。ここら辺は,中島さんの方が洞察力も情報も持っていらっしゃると思うので,つらつらと。

そもそも、「Googleがモバイルプラットフォーム」を発表する、と聞いた時には、「ついに超高速・超小型のJavascriptエンジンの開発に成功したか」と過大な期待を抱いてしまった私にとって、JavaVMもどきのAndroidははっきり言って期待はずれの拍子抜け。明らかにGoogleの「ウェブアプリケーション中心」というの基本路線から外れており、せっかくAndroid向けのアプリを作った開発者がGoogleに途中ではしごを外されて途方にくれる可能性は大きいと私は見ている。

Life is beautiful: GoogleのAndroid向けのアプリビジネスはなぜ魅力的ではないか?

ここに言う「ウェブアプリケーション中心」というのは微妙にニュアンスが違うんじゃないかと思ったりします。どゆことかというと,Google にいわゆるネットビジネスってのは,HTML なり JavaScript なりに限定したインフラというわけではなくて,ネットそのものを基盤にしたインフラなんじゃないだろうか,ということ。

ひと昔の発想だと,まず独自のネットインフラがあって,その次にそれに準じた特定のサービスがあって,そのサービスを受けるための特別なブラウザなりクライアントソフトがあるってのが基本なのでした。で,それぞれの段階で,顧客を囲い込む仕組みができていた。例えば,i-mode をはじめとした各ケータイキャリアが提供しているサービスなんかでは,いまだにネットインフラのレベルで囲い込んでます。提供しているサービスがしょぼい割に使われているのは,それしか使うアテがないからだったりする。

一方,Google Phone であれ iPhone であれ,魅力的なのは,ネットインフラにおいて標準化されているプロトコル(主に HTTP)を利用できるということ。このおかげで,PC 上のデータとケータイ上のデータは区別なくやり取りできるようになりました。

しかし,Google Phone と iPhone の大きな違いは,サービスをどこでの処理するかにあると思うんです。

この点,iPhone でアプリを作る場合,処理系は主にクライアント側にあるわけで,こいつは Objective-C で作ることになります。で,引用では,ブラウザを利用した HTML + JavaScript が新たなクライアント側の処理系として投資効率がいいんじゃないか,と。おそらく,クライアント側でローカルなアプリケーションを作る限りにおいては,当たってるんだと思います。移植も多分楽なはず(HTML5 が普及すればの話だが)。

一方,Google のアプローチは,基本的に処理系をネット側に置いている点が決定的に異なります。どゆことかというと,Google が提供するサービスは,固有で複雑な処理をサーバ側に置いて,クライアント側はできる限りどんな実装でも対応できるサービスだったりするということ。HTML + JavaScript を使う場合,それらの処理系がなければお手上げだけれども,Google のサービスの場合は,極端な話,HTTP(S) を話せる環境が手元にあれば,サービスを利用できます。クラウドコンピューティング用の端末といったところか。

モバイル端末がいくら高性能になったとはいえ,所詮できることは限られているわけで,HTML + JavaScript でローカルなアプリを動かすってのは,どちみちハードウェアの性能に依存した,硬直的なアプローチだと思ったりします。ネット側に処理の大半を移す Google のアプローチの方が,高いスケーラビリティを維持できるんじゃないだろうか,と。単純に,メールを読むためにブラウザを起こすのってアホらしくね?ってのもあるんですけど。

また,ネイティブコードの点で言っても,おそらく Android は JNI(Java Native Interface)をサポートするはず(と信じている)。Object-C よりも Java + JNI の方がノウハウもあるし,開発環境も整っているので(ただの C/C++ だから),開発者からしても参入しやすいはず。将来的に端末のプラットフォームが,現在の ARM 系 MCU から他のプラットフォームに移る場合も,JNI 部分だけを変更すればいいだけなので,移植のしきいも低くなるはずです。Java で書いた部分はひとつも変更しなくてもいいし,C/C++ 部分もプラットフォーム用にコンパイルしなおすくらいで済むんじゃないだろうか。

あたしゃ将来的には,ハードウェアやそれを動かすための処理系(HTML + JavaScript で言うならブラウザ)で,サービスを区別するような仕組みは廃れていくんだと思っています。ネット上にサービスを抽象化することで,クライアント側は,それぞれのハードウェア環境で適切な実装が提供されることになる,と。それを支える基盤は,SOA なりなんなりってなことになるんだと思うんですけれど,いずれにしろ,一部の処理系だけでしか動かないアプリケーション環境は,本当にローカルなアプリケーション(メーカー製パソコンのオマケソフトみたいな)に限定されるんじゃないか,と。

ま,こんなに Google Phone をかばうのは,あたしが HT-03A を買ったからってのが大きいんですが。ポジショントーク,ポジショントーク。

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