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リバタニアンはヴァイマル共和国の夢を見るか

2009年08月10日

見ねぇな,きっと。タイトルは思い付きです。

手元にあった『法理学講義』をぼちぼちと読んでいたんですけれど,法理学(法哲学のこと)的に見たリバタリアズムの説明が面白かったのでメモ。

法理学講義
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田中 成明
有斐閣
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リバタリアズムってのは,基本的に「小さな政府」と「夜警国家」を志向する態度で,国家の個人に対する干渉を認めないという意味での「自由」を重視する態度です。ま,あたしのいい加減な解説よりも,手元にあった『法理学講義』の解説の方が優れているので,詳しくはこちらを参照。

リバタリアズムは,完全自由主義,自由至上主義,自由尊重主義などと訳されるが,その共通の基本的特徴は,個人の自由,私有財産権,自由競争市場を最大限尊重する個人主義的立場を基礎に,強制的な権力行使に関わる政治や国家をできることなら無くし,それが無理ならば,最小化し,法によって厳しく統制しようとすることである。そして,正義論に関しては,正義の範囲を水平関係における交換的・矯正的正義に限定し、垂直関係における配分的な社会的正義を厳しく批判する一方,他方では,一般的ルールや手続の遵法自体に,そこから生じる結果とは独立に固有の価値を認める手続的正義の観念を重視し,平等の観念をこのようなルール・手続のもとでの形式的正義に限定する。平等や福祉の問題については,社会経済的不平等は原則として正当化を必要とするという,いわゆる「平等の推定」にはほぼ一致して反対し,困窮者の救済は,慈善・慈愛の問題として個々人の自発的活動にゆだねておけばよいとして,正義の問題,いわんや個人の権利の問題とすることには批判的である。

『法理学講義』(田中成明 ,有斐閣,1994年,pp141-142 )

あたしの政治的な立ち位置は,米国政治学上の分類で言うと,社会自由主義(いわゆるベラリズム)寄りだといっていいと思うんですけれど,いろいろとごにょごにょとあるもんで,投票行動のような政治的な態度においては,あえてリバタリアズム的な言説に乗っかるような態度を取っていたりします。ま,米国民主主義のフレームが世界の民主主義のフレームとぴたりと重なるわけじゃないわけで,「リベラリスト寄り」とか言っても,あまり意味がないとは思うんですが。

ともあれ,リバタリアンにいわゆる「自由」というのは,言ってみれば,「生きるのも死ぬのもあなたの自由ですよ」という意味での自由なわけで,「死にそうな人を助けるかどうかもあなたの自由です(国家は何もしません)」という意味での自由だったりします。だって,国家が社会福祉的な政策に関わると,効率悪いもん,とか云々。

で,一方,社会福祉的な垂直的(配分的)正義は,国家なんかが関わらなくても,だれか他の奇特な人がやってくれるよ,といったところ。いつも思うんだけれども,市場原理にしても,社会福祉政策上の丸投げ(どこに投げてるんだか分からないけれども)にしても,こうした楽観論はどこから出てくるんだろう,と思ってしまう。

もちろん,市場から福祉から何もかもをうまく調整してくれる便利な神様がいる国なら,この楽観論もお国柄として理解できなくもありません。しかし,そゆのがない国にいる学者連中の楽観の根拠を知りたい。どう考えても失敗する方向に,なぜ突き進むのか。向こうの神様は「失敗しちゃった,てへっ☆」とかいって舌を出すわけで,学者連中も「神様の邪魔をするから失敗したじゃんか」みたいなことを言うんだろうけれども,こっちにはそんな神様いないぞ。

それともうひとつ。リバタリアンが政策を実行して,「格差社会」なんて言葉も流行ったわけだけれども,なぜ当の面々はそれについて総括を行わないのだろう。格差結構!その代わり,君たち自由になったし,行政も効率的になったっぽいでしょ?って言わないの?政策実現したじゃん。自民党の総括として聞きたいのは,まさにその点なわけで,言動がぶれてごめんなさいとかいった話は,正直どうでも良かったりする。ぶれている点を問題にするなら,4年前に授権したときに言ってたことと,今の態度が異なる点が問題のはず。4年前のまま突き進むのか,やっぱり間違ってました,ごめんなさいと言うのか,どっちなんだろう。

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