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IT サービス産業と個人のスキルの話

2009年08月13日

IT 業界,中でもとりわけソフトウェア産業は,製造(ベンダ,メーカー)に近いといった認識の向きが多いと思うのだけれども,実際のところ,サービス産業的な要素も無視できないんだよなー……とか,つらつら。ま,今さらそんな話かよってなところもあるんですけれど。

ソフトウェアベンダは,作ったソフトを売るなり,(大きなくくりで言うと)頼まれたソフトを作ったりすることでやりくりするわけだけれども,サービス業としてのソフトウェア企業は,作ったプログラムを売るわけではなくて,あくまでもその機能を売ることになる。で,おそらく,前者は昔の産業で,後者はこれからの産業といった認識なんじゃないだろうか。Google しかり,はてなしかり。

ソフトウェア産業でサービス産業が発達したのは,言うまでもなくインターネットが普及したからで,手軽にソフトウェアの機能を多人数に利用させることができるようになったからなんだと思います。事業規模がそこそこなら,大きな設備もいらないので,個人でも手軽に始められる。もちろん,ソフトウェアに関する知識・技術は必要なわけだけれども。

で,本題なんですけれど,こうしたサービス産業を主体とした企業で働くことは,技術者個人のスキルを向上させることにつながるのだろうか,と。というのも,先日,そゆ会社からうちで働きませんか?メールをいただいたから。

その会社さんについては,上の話の他にもいろいろと懸念することがあったので,お断りしたんですけれど,結局大きな疑問として残ったのは,上のような「サービス産業への転身」という点だったのでした。同じソフトウェア産業でも,やってることはまるで違うんだと思う。

あたしがいるところに基づいた偏見で言うと,ベンダとしてのソフトウェア企業っつのは,割と泥臭いところがあって,例えば,お客さんがそのソフトウェアを使ってどのように動くのかをよく知っておく必要があったりします。特に,あたしんとこで作っているソフトは小売されていない,法人向けのソフトウェアを中心に作っているので,作った後でカスタマイズする提案をしたり,新機能や使い勝手をお客さんと一緒に,面と向かって作り上げていくところがあったりする。「こういう使い方したいんだけどできない?」とか「うちの業界ではこの項目とこの項目が大切だからもっと目立たせて」とかいった話を直接聞く。これは,法人業務を扱っているベンダだったら,どのベンダもやってるはず。

一方で,少なくとも現在のサービス産業は,あらかじめ出来上がったソフトウェアの機能を提供する点が重視されるためか,「この機能を使うか使わないか」の択一式になる傾向が強い気がする(偏見だけど)。一応,SLA なんつのもあるけれど,最低限の稼動条件程度だったりするので,「機能を使いきれない人は使わなくて結構です」みたいなことになりがち(あくまでも偏見です)。ま,いわゆる殿様商売ってやつ。もちろん,サービス産業は,多人数に対して平均した使いやすさと機能を提供する必要があるので,ある程度殿様っぷりを発揮しないとやってけないってとこもあるんでしょうけれど。ソフトウェアベンダも,大きなところになってしまうと殿様商売になるけれど,サービス産業は,割と小さなトコでも殿様っぷりを発揮する必要がある点に違いがあるのだとも思う。

で,個々の企業のあり方そのものについては,それぞれ上手く回ってるなら「よかったね」で済むからどうでもいいんですけれど,個人のスキルを考える場合,企業の開発姿勢というか開発方針みたいなもんは,開発スキルにかなり大きく影響するんじゃないかと思ったりします。

なんというか,技術畑にいないユーザさんの中には,たまにほんとにトンデモなことを言う人がいたりします。もちろん,それは要望としてすべきことなら「やらなきゃいけないこと」なわけで,お客さんが悪いわけではない。殿様商売だとこうした(文字通り)危機的な場面に遭遇することは少ないんじゃないかと思ったりする。自分の技術的な限界というか,スキルの不足に直面する場面に,あっけなくサクっと当たってしまうわけで,内省することもしばしば。おそらく,こういう経験は,サービス産業じゃないにしても,殿様商売ではできないんだと思う。

この点で,昨日だったか,今いるプロジェクトの同僚が「このプロジェクトに参加してスキルがついたと思いますよ」とか言っていたのを思い出します。たしかに彼はデキる人になったと思う。しかし,それはプログラミングや設計の技術だけではなく(それももちろんあるが),例えば,問題を解決するための手順の組み方であるとか,営業さんやお客さんからもらう要望の汲み取り方とかいった,実世界とコンピュータの世界を結びつけるスキルという意味で,著しく成長したといった印象があります。

当の本人は,「メゲナイココロ」が身に付いたと言っていました。たしかにそうだ。いろいろ叩かれたしね。

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