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「自己責任」の話は倫理の問題ではないと思う

2009年08月23日

どうも,自己責任論における反批判(自己責任論に対する批判に対する批判)が倫理の問題に偏っている気がするので少し。反批判というのは次のようなもの。

自分がいい思いをしているときは原因を自分に着せて,悪い思いをしているときは原因を自分以外(例えば政府)に着せるのはフェアじゃないんじゃない?

たしかに,倫理的で総論的な問題に関する限り,上のような態度はフェアじゃない。自分に起こる悪いことをすべて他人のせいにしていたら,世の中が回っていかないだろうことは容易に想像できます。

ただ,一般に政策論としての自己責任論批判の場合,そうした倫理的側面は希薄だったりするし,逆に,倫理的側面を掛け声にした政策論は「しょーもない」というしかないんじゃないだろうか。当時の小泉政権の掛け声が,こうした倫理的側面を少なからず政策論に混ぜ込んで掛け声にしていたことについて,あたしゃ否定しませんが。

2004年,イラクの邦人拘束事件において起こった,身も蓋もない(倫理的な意味での)自己責任論は横に置いておくとして(参照:qune: 自己責任),政策論における自己責任論つのは結局のところ,「国家や富裕層と貧困層の間にあるリスク分配の割合を変更する」といった政策転換における掛け声だったと見るべきなんだと思います(ここでの「リスク」は,もっぱら負方向に傾く「危険」と同じ意味で使っています。以下同じ。)。このリスクは,外交でも安保でもなく,特に社会保障政策や労働政策,それに教育政策や医療政策におけるリスクです。つまり,縦の分配(貧困層が負うリスクの一部を国家を通じて富裕層に転嫁すること)の割合を小さくした,と。

つことで,政策論における「自己責任」というのは,なんでもかんでも個人の責任にするような政策ではなくて,これまで国家なり富裕層なりが負っていた財政的なリスクを,一般庶民に転嫁したということだったりする(「薄く広く」と言われるが)。反対に,それに対する批判も,なんでもかんでも国家や政府のせいにするような批判ではない。あくまでも,分配の割合をどうするのか?といった話の総論として自己責任論がある,と。んでもって,政治の総論つのは,大抵各論と無関係にに発せられてることが多かったりもする。

で,少し本題から外れるけれども。

あたしはというと,基本的にはリベラルな考えを持っていますけど,社会保障に関して「これから政府は国民(特に貧困層)の面倒を(あまり)見ませんよ。自分で何とかしてください。」とした,4年前の宣言について,あえて(失敗するのを見越して)乗ってきましたし,今も乗っています。ただし,「リスクをこちらで負うからには,こっちも自由にさせてもらいますよ」といった留保付きだし,「自己責任とか言っておきながら,ロクに働きもしない連中が既得権益の甘い汁を吸うのは許しませんよ」という留保付きでです。

というのも,こうした態度そのものは,日本的なムラ社会を壊すのにはいい機会だと思ったからだし,そうしたムラ社会の構造の中で不当に生き延びてきた富裕層を告発する機会にもなると思ったからです。あたしとしては,威勢のいいことを言っておきながら自民党が途中でコケて(政策転換して)しまったので,結局貧困層だけが損する形になってしまった,と見ているんですけれど,どうでしょう。例えば,雇用が流動化したといっても,団塊のバカや使えない大企業の正社員は温存されて(あたしゃ正社員だけど),若年労働者や派遣労働者ばかりが備品扱いで流動するなんつのは,中途半端の典型だった。手術してる途中でやめちゃったもんだから,血がバーバー出てるぞ。どうでもいいから,誰か止めろ。

4年前にこの政策を進めてきた政党は,この点について総括を行ってもらいたかったんですけれど,結局今朝の討論番組を見ても触れられていませんでした。それどころか,自民党の場合,選挙後の総裁選で総裁が変わることすら示唆しているし,公明党も何も言わない。選挙に当たって,自民党の新しい総裁は,そもそも今のマニフェストを守る気があるのか?その担保はどこにあるんだ?政党の責任ってなんなのさ。

と,まぁ,そんなことをつらつら思ったわけなんだけれども,以前も同じようなことを書いてたんですね。今気が付いた(参照:qune: このサイトで自己責任論について書いた話をちょっと集めておく)。ま,進歩ないってことで。

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