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本日の斜め読み - 『世界一やさしい問題解決の授業』

2009年08月25日

某所で勧められて読んでみました。薄いのでさらっと読めます。

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
渡辺 健介
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 258
おすすめ度の平均: 4.0
5 問題解決の入門書としてお勧め!
5 確かに子供にあげたくなる本
5 職員研修の教材に最適
5 「はじめの一歩」として、「一般向け」として、最高です!
5 図書館では児童書コーナーにおいてある子供でもわかる問題解決の本

本書は,いわゆる「問題解決能力(problem solving skills)」をどのように育むのか,といった視点で書かれた本です。ひと昔前は暗記なり詰め込みなりってのが,学習の主流を占めていたわけですけれど,この頃は,問題に対して対応する力を重視する傾向があったりします。どこの分野でもそうでしょうけど,特にあたしのいる IT 業界なんかでは,年がら年中答えが出るのか(あるのか)分からないようなパズルを解いているようなもんだし,応用技術はドッグイヤー(死語)で発展していたりします。んなもんで,ある特定の問題に対して,答えを知ってるかはある意味どうでもよくて(大切だが),答えに近付く一般的なお作法を心得ているか,といった点が重視されていたりします。

本書は,そのお作法のごく基本を絵本調で説明した本です。どちらかというと,中高生あたりを対象にしていると思うんですけれど,大学生や社会人が読んでもはっとするところはあるかも。

あたしゃ普段,この手の HOWTO 本や KNOWHOW 本を自分のお金で買うことはまずないので,類書と比べることは難しいんですけれど,問題を解決するためのお作法として,かなりいい線いってると思います。形式的な方法論ではなく,目的に対してどのようなアプローチを取るのが最も効率的で分かりやすいか,といった視点で書かれているところがいい。

一方で,本書で足りないと思うのは,発想なりアイデアなりの手数を増やす方法です。

本書では,主に問題解決の方法を列挙した上で,最も合理的な方法を絞り込んでいくアプローチを紹介しているんですけれど,この方法だと,列挙できるだけの問題解決の可能性を手数として持っている必要があります。つまるところ,「問題解決の前提となる知識を蓄えていること(これまで重視されていたこと)」と「問題解決のための合理的なお作法を心得ていること(本書で説明されていること)」の他に,「知っている知識を当該問題に結びつけることができること」が必要だと思うんです。

例えば,あたしゃ今文書画像のレイアウト解析なんかをぼちぼち考えているんですけれど,ここら辺のことをやってる人は,本当にいろいろな手法を動員していたりします。ベタに画像処理の手法を使っている人もいれば,信号解析の技術を動員する人もいる。そうかと思ったら,計算幾何学的な知識を使ってる人もいるし,統計学を利用したパタン認識の技術を採用する人もいます。ひとつの目標のために取りうるアプローチはいくつかあるわけで,まずもって,それを列挙するための能力が必要になる,と。

もちろん,本書でもこの列挙の仕方は説明されているんですけれど,常識的に思いつくものばかりです。実際は,思いつかない人には一生かかっても思いつかない解決法をさらっと列挙する人がいるもんで,論文読んでて「頭いいなー」と羨ましがることしきりだったりします。「知っている知識を当該問題に結びつけることができること」というのは,「これもしかして使えるじゃね?」とひらめく能力と言えばいいのかもしれない。

で,実際のところ,こうした「問題と知識の結びつけ」を余すところなく列挙できたら,その時点で問題は九分九厘解決しているようなもんだったりもするんですよね。ままならないもんです(←意味不明)。

つまるところ,「やりたいことを実現するために,どのような知識を使うことができるのか列挙する」といった点で見た場合,そこには選定眼みたいなもんが必要になると思うんです。で,こゆのは,ある程度方法論でいけるところもあるんでしょうけれど,残念ながら,大部分センスがモノを言う世界だったりもする。育むにはどうすればいいかというと,結局,本をよく読んで,人とよく話せ,としか言えません(あたしが言えた義理じゃないんですけど)。ま,こゆセンスばかりは,本に書くようなもんでもないので,本書に対する注文としてはハードル高すぎなんでしょうけど。

一方で,せっかくいいアイデアや着眼点を持っているのに,生かし方を知らないばっかりに無駄足を踏んでる方もいるはず。そゆ向きにとって,本書はかなりの武器になるはずです。あとは,合理的なお作法を身に付ければいいだけですから。そゆ方はほんと,羨ましい限り。

問題解決つのは,結局のところ総合力だと思うわけで,ものの見方から考え方まで,すべてを動員する必要があったりします。で,こゆのは,本書にも書いてある通り,実践的な「癖」として身に付けていくものなので,本書を読んですぐに効果が出るもんでもなかったりします。とりあえずのとっかかりとしておすすめ。

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