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今日読んだマンガ - 『ひかりのまち』

2009年08月30日

選挙に行って出口調査なんかに答えて帰宅。積んであったマンガを読む。

ひかりのまち (サンデーGXコミックス)
浅野 いにお
小学館
おすすめ度の平均: 4.0
1
5 ぼくらのまち
1 ?
5 なんかいいな
1 チリも積もれば山となる

あたしゃ割と本作を気に入ったんですけれど,なんつか,健全な感覚を持ってる人は,次のような感想になるんだと思う。ま,この手の話にはつき物の感想なので,取り立てて珍しいもんでもないんですけどね。一応,晒し上げとく。

52 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 チリも積もれば山となる, 2007/8/1
By ami - レビューをすべて見る
犯罪を軽々と犯す精神を持った、どうしようもない人間キャラが多数出ている。

こんなキャラ達に、現代のリアルとやらを感じて感情移入・共感できちゃう人はいるのか?

一人語りで言い訳ばかり。
口を開けば不平不満。
溜め息。
欲求不満
正論を言えば悪態つく。
最後は決って開き直り

こんな爽快感も達成感も何も無い漫画は初めて読んだ。時間と紙の無駄。
一寸の夢も希望も見せられない、見ていて不快になる漫画。

Amazon.co.jp: カスタマーレビュー: ひかりのまち (サンデーGXコミックス)

爽快感や達成感,夢や希望が欲しいなら,ドラゴンボールでも読んでりゃいいんじゃないだろうか。少年誌には,その手の話がわんさかあるぞ。ま,こゆ感覚は,健全で市民的な感覚だとは思うんですけどね。本作については,他にも同様のレビューがあるんですけれど,そこに感じる「不快」が,その健全で市民的な感覚が揺さぶられている結果だということに気づいた方がいいとは思う。そして,それは本作が狙っているところでもある。

本作は,「ひかりのまち」と呼ばれる団地を舞台にした話。時系列的に並べた話ではなくて,この街を多面的に捉える形で表現しています。うまく構成されたオムニバス形式の作品で,作者の構成力の高さが際立っています。一方で本作は,この街を舞台にして,日常に見られる不条理な生や死,死生観や閉塞感を扱った作品なんですけれど,先にも書いた通り,こうした作品をどう受け止めるかについて,読者が試されているところがあるんじゃないかと思っていたりします。

これはあたしのアプローチですけれど,こうした話の場合,善悪の感覚について立つべき場所をを一旦括弧に括る必要があるんじゃないかと思うんです。エポケーつんですか,そゆやつです。

例えば,先の「健全な市民的感覚」からすると,本作はどうしようもない作品に見えてしまう。それは,「自殺」や「殺人」が忌むべきものであることが原因であるし,「犯罪」や「性」の問題に誰もが触れたくないことが原因でもある。触れたくないもの,見たくないものは,善悪にまつわる健全な感覚を相対化してしまうところがあるわけで,それに対する不快というものは,たしかにあるのだと思う。

しかし,こうした態度に固執してしまうと,市民的感覚が当たり前だと思っていることで見逃していることを,再び見逃してしまう可能性がある。ただ不快だというだけなら簡単なわけだけれども,なぜそれが不快なのか,自問する機会を逸してしまう,と。

反対に,世の中には,こうしたアウトロー的な話が大好きな向きがいるのも,確かだったりします。ヤンキーマンガや格闘マンガのアウトローっぷりなんてかわいいもんで,「世界の終わり,早く来ないかなー」とかウキウキしつつ,本作のような作品を読んでいる人もいる(身近にもいる)。しかし,あたしゃこういう態度からも距離を取りたいと思っています。

というのも,結局こういう態度も,市民感覚の裏返しに過ぎないし,さらに悪いことに稚拙なロマンティシズムをはらんでいるとすら思えるからです。

んなもんで,本作を読むのに必要なのは,読者の善悪や美醜の基準を一旦括弧に括ることなんだと思う。何がいいことなのか,何が悪いことなのか,ゼロベースで向き合う必要があると思うわけです。大切なことは,本作を読んで,美しいと思った自分,醜いと思った自分と向き合うことなのだろう。括って読んだら,醜くもギクシャクと回っている世間というものや,その中で絶望や希望を見出して生活する人間を見ることができるかも。

余韻が残る一冊。

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