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「2位ではだめなのか」とかいうパトロンからはむしろ離れた方がいいのかも

2009年11月27日

スパコン事業仕分けで,「世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」と発言していた蓮舫氏なんだけれども,こゆもんに2位ってのはないんだよな,きっと。「1位」と「その他」しかない。ま,これはただの政治的な比喩だとも思えるので,いちいち突っ込むのもアレなんだけれども(政治的な比喩でもって仕分けられるのもアレなんだろうが)。お金がないなら,そういえばいいのに。なんで余計なこと言うんだろう。

僭越ながらコンピュータ界隈の話をしておくと,スパコンの類はもとよりコンピュータのアーキテクチャつのは,汎用目的の計算機から特別な目的の計算機に「特化」していくものではなくて,特定の目的を持った計算機から汎用目的に「一般化」するのが,自然な流れだったりします。

んなもんで,「このコンピュータができたとして何の役に立つのか?」と聞かれても,「特定の物理演算にしか使えません」とか答えざるを得ないところがある。それがつらい。ここ数年で汎用コンピュータは身の回りに増えてきたけれども,スパコンにいう「コンピュータ」は,あなたが日常的に使っているそのコンピュータとはまったく別物の基礎研究なんですよ,と。ヘタに汎用機が普及しているために,その延長で考えられてしまっているところがあるんじゃないだろうか。特に,近頃の汎用機は,今回のスパコンのようにベクトル演算を主にするものから,並列分散処理に軸足を移しています。スパコンと汎用機はかなりかけ離れるわけだけれども,仕分けの判断は汎用機基準になっているんじゃないだろうか。

もっとも,今回のスパコンについて,あたしゃ個人的に「お金がないから撤退します」というなら理解できたところもあるんですね,実は。2位はありえないので,1位を目指さないのであれば撤退です。基礎研究はお金がかかる割に成果が見えづらいところがあるわけで,基本的にお金に余裕のあるところがやることなんだと思います。借金をたっぷり抱えた国は,もっと目に見えるものにお金をつぎ込むのが(政治的に)正しいともいえる。

しかし,撤退するに当たって,スパコンの基礎研究そのものの意義を貶めたり,世界一にならなくてもいいとかいった話にすりかえるのは,すっぱい葡萄の理屈なわけで,見識に欠けた意見だと言わざるを得ません。こういう考え方は,先につながらないだけに危ない。

なんつか,今やっている仕事が基礎研究的なことなので,重ねて見てしまいました。こういう見られ方をすると,本当につらい。あたしがやってるのは,HPC プロジェクトと比べたら,吹けば飛ぶようなプロジェクトなので,重ねて見るのもおこがましいんですけどね。以前やっていた研究的な仕事は,無事に製品もできてそれなりに売れているから,周りの評価もついてきているけれども,企画・研究段階では半ば無産階級扱いされたりしていたわけで,周りの連中も現金なもんだと思う。

自分のことを研究者というつもりはないけれども,研究者はお金持ちのパトロンを探すのがまず大事なんだよな,と。

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