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今読んでる本 - 『プログラミングのための確率統計』

2009年12月14日

『プログラミングのための線形代数』の続編として出版されている『プログラミングのための確率統計』を読んでいます。お勉強本だけど,個人的には読み物のノリ。

プログラミングのための確率統計
平岡 和幸 堀 玄
オーム社
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今のところ,まだ Amazon にはレビューがないんですけれど,どうしたもんざんしょ。確率論や統計の領域は昨今ずいぶんと熱気を帯びているけれども,線形代数と比べると必須とまでは思われていないのかもしれません。あたしゃがっつり使ってるので,それなりの心構えで読んでます。

本書は,確率統計の初歩の初歩から,実際にプログラミングに応用される分野までを扱った入門本です。確率統計というと,「条件付確率」や「確率密度」それに「共分散」や「事後確率」といった,抽象的で難しげな用語が並ぶのに加えて,これまた難しげな積分記号やベクトル表現をぞろぞろと並べて説明されるのが普通です。本書では,これらの概念を,面積や濃度のような身近な概念を通じて説明しています。たしかにこれは分かりやすい。

また,もうひとつ特徴的なのは,本書が「神様視点」という概念を使って確率論を説明しているところ。さいころを振って1が出る確率が1/6なら,60回振ったら10回くらい1が出るんだろうと想像できるけれども,明日の降水確率は20%と言ったとき,この数字が何を意味しているのか,さいころと同じようには説明できなかったりします(明日という日が5回も10回もくるわけじゃないから)。こういう話は,確率論が依って立つ根本的な考え方なわけで,ここが理解できないと応用的(工学的)に確率統計を使いこなすのは難しいんじゃないかと思います,個人的に。

こういう概念を説明するのは,実のところ非常に難しいと思うんですけれど,本書では「神様視点」の話から,すっきりと説明されています。あまりにもあっさりと導入されているんだけれども,こういう説明ができるというのは,なにげにすごいことなんじゃないかと思います。

一方,例によって,本書は「プログラミングのための」と題されているものの,プログラミングの話はまったく出てきません。プログラマが確率統計を利用するに当たって,必要な知識や作法が説明されています。現実の実装では,数値解析のお作法や,プログラムでベクトルや行列を扱うお作法を知っている必要があるわけですけれど,これは他書で補う必要があります。もっとも,これらはその分野だけで1冊本ができてしまうので,実装にまで踏み込まない態度は,記述が中途半端にならないための適切な判断だったと思います。

二部構成で,最初は基礎的な話。二部からは,マルコフ連鎖やカルマンフィルタの初歩まで紹介する内容。次の書籍につながるという意味でも,初学者の役に立ちそうです。もう少し早く出版されていたら,あたしも苦労しなかったのに,と思います。ほんと。

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