Entry

今読んでる本 - 『工学系の関数解析』

2010年07月04日

教科書の類は多読するよりも一冊の本を精読/演習するのがスジだと思うもんで,あたしのように複数冊の教科書を読むのは野暮なんだと思います。しかし残念なことに,あたしの場合は周りに先生がいないもんだから仕方がない(選んだ書籍だけと心中するわけにいかない)。んなもんで,あたしゃ一冊主たる教科書を決めておいて,派生的にいくつかの書籍を参照していたりします。で,こちら。

工学系の関数解析
工学系の関数解析
posted with amazlet at 10.07.04
小川 英光
森北出版
売り上げランキング: 344179

あたしが読んでいる主たる本は,数年前から PRML で,そこで分からない話が出てきたときに他書を当たるようにしています。本書もその一冊。

パターン認識と機械学習 上 - ベイズ理論による統計的予測
C. M. ビショップ
シュプリンガー・ジャパン株式会社
売り上げランキング: 56961
おすすめ度の平均: 3.5
2 オリジナルに劣る...
5 機械学習の新・定番教科書,待望の邦訳!

関数解析周りは常日頃から力不足を感じていて,PRML に限らず,教科書の類を読んでいて途方に暮れることがしばしばあります。特に,「……したがって,○○もヒルベルト空間になる。」みたいな「したがって」が現れるときに,「?」となって,数日から数週間ハマることがしばしばある。ヒルベルト空間それ自体の定義や性質は知っていても,線形空間の公理系から証明を経て身につけた知識ではないことから,当たり前のように「したがって」と言われても,「?」となってしまうのだと思います。基礎って大切ですね。

その点,本書は,線形空間の公理系から再生核ヒルベルト空間までの道のりを順番に示してくれます。これは本当にありがたい。PRML や SVM 周りの話に出てくる概念や定理で,これまで知っているつもりだったアレコレが,公理系の下で自然に説明される。知ったかぶりだった知識が,むくむくと生気をもって起き上がってくる感覚があります。

一方,この手の数学が難しいのには,純粋数学としての,線形代数や解析学といった分野と,PRML で扱う工学としての数学が目的において異なっていることも,大きな原因になっているような気もする。さらに言うと,一言で工学系の関数解析といっても,分野によって主役になる定理や理論展開が大きく異なっていたりします。これも大きいと思う。

この点ついても,本書は,パターン認識や画像解析といった方面を念頭に置いた説明「として」編まれています。ありがたい限り。

解答付きの演習問題もあるので自習もできる。おそらく,教科書としては工学系学部の1年生から2年生向けなんだと思います(よく知らないが)。本書を終えるにはまだしばらくかかりそうなので,おすすめと言い切ることはしないけれども,個人的にはかなり重宝する一冊になるんじゃないかと思っています。

分からんもんが分かるようになるってのは,いくつになっても嬉しいもんだ,と,おっさんは思っとるです。

Trackback
Trackback URL:
Ads
About
Search This Site
Ads
Categories
Recent Entries
Log Archive
Syndicate This Site
Info.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Movable Type 3.36
Valid XHTML 1.1!
Valid CSS!
ブログタイムズ

© 2003-2012 AIAN