Entry

今日読んでた本 - 『基礎から学ぶ Android SDK』

2010年11月23日

随分前に買っていたんだけれども,読んでいなかったので今日読みました。作りながらじゃなければさくさく読めます。Android の入門本はこれまで何冊か出版されているものの,どれもこれも中途半端でにんともかんともだったりします。というか「お前ヤッツケで作っただろ」なものが非常に多い。本書はどうかというと……うーん,微妙。

基礎から学ぶ Android SDK
吉井 博史
シーアンドアール研究所
売り上げランキング: 165510

本書は,Android 上で動くアプリケーションを開発するための入門本です。Android を今さら説明することもないと思うけれども,いわゆる Google ケータイと呼ばれるスマートフォンに乗っかっている実行環境(OS というと間違えてるかもしれないので実行環境と言っておく)のことです。Google は Android の Java インターフェイス(API)を用意してくれているので,こいつを触りましょうという話。もっと簡単に言うと,Google ケータイで動くアプリケーションを作りましょう,という話です。

他書と比べてまず特徴的なのは,お題にしているアプリケーションが「現実的なもの」であること。どゆことかというとですね。他書のお題はゲームばっかりなんですよ。画面描画のタイミングとか,当たり(衝突)判定とか,普通はゲームにしか使わない。で,そゆのをゴリゴリ説明されてもしょうがなかったりします。

Android マーケットを見ても分かると思うんですけれど,普通のアプリはほとんどエディットボックスやらボタンやらを配置して個別の処理を行うようなアプリケーションです。グラフィックス機能を駆使して……とか,そゆのは本当にどうでもいいんですけれど,頑張って説明しちゃってる(必要な人はいるんだろうけど)。こゆ,おもちゃみたいなゲームを作ったところで,普通のアプリケーションなんてできっこないと思うんだけれども,どうだろう。ゲームのお題は読者の食いつきがいいとか思っているのかもしれないけれども,そこに大きな需要はないぞ。

と,そんなわけで,本書では最初に基本を説明した後,RSS リーダのような「普通の」アプリケーションを作っています。どんな入門本でもそうですけれど,(リファレンス型ではなく)チュートリアル型の入門書を選ぶとき,あたしゃまずゲームを作っていないのを選ぶことにしているんですけれど,本書くらいしかなかった。他書では,『入門 Android 2 プログラミング』がかなりいい入門本だと思うけれども,少し分量が多いので,挫折する危険があるかも。『基礎から学ぶ…』と価格が同じなので,挫折しないでコツコツと読める向きは,『入門 Android 2 プログラミング』の方がお勧めです。

入門 Android 2 プログラミング (Programmer’s SELECTION)
Mark Murphy
翔泳社
売り上げランキング: 3856

『Android Hacks』も一読したところよさげでした。しかし,これは Android 開発者になった人のためのトピック本で,そもそも入門本じゃない。

Android Hacks ―プロが教えるテクニック & ツール
株式会社ブリリアントサービス
オライリージャパン
売り上げランキング: 1244

本書が対象とする読者は,おそらく Java と Eclipse で開発した経験のある人だと思います。Android SDK を除く Java の開発環境については詳しい説明があまりないので,読者が知っていることを前提にしているはず。Android SDK を触る人で Java をやったことがない方ってのは珍しいと思うけれども,やってなかったら他で少しプログラムを書いておく必要があります。Android SDK の説明なのに Java 入門がかなり混じっているなんてのは無駄ですから,これはいいところ。

また,Amazon のレビューでは,コードで画面を作るのは「かなり原始的」といった意見もあるけれども,このスタイルは入門本として歓迎すべきことだと思います。Android SDK では XML から画面を起こすこともできるんですけれど,こゆことに慣れてしまうと応用がきかなくなってしまいます。巷には JSP は書けるけど Servlet で画面を描けません(泣)なんつトホホな人もいるわけで,最初はちゃんと基盤となっている Java プラットフォームと接続して理解しておく必要があると思います。とゆことで,これもいいところ。

一方,今度は悪いところだけれども,全般的にヤッツケ仕事で書かれた印象が非常に強い本です。どっかのメモ書きにすら見える。特にコードの質が非常に悪い。

あたしが買ったのは初版の第5刷だけれども,この版になっても誤字・脱字が非常に目立ちます。また,本文で示している行番号とコードの行番号が一致していないとかいったこともしばしば。あたしゃ技術書の校閲や翻訳の出来について口うるさい方ではないと思っているけれども,ものすごい手抜き感を感じてしまいます。少し気を配れば対応できることについて,「面倒だからやらない」とか言っているように見える。

また,コード自体の質も悪い。StringBuffer 型の変数に一文で append しまくるコードには,なんだか新しいもんを見てしまった感じ。デバッグしにくそう。入門本のサンプルコードは,効率よりも分かりやすさを重視するところがあるけれども,ここでのコードにそゆ配慮はまったくありません。メソッドの戻りに対して再度メソッドを呼び出すのは手癖なんだろうけれども(度を越えなければ許されるものだが),入門本は SDK の API を説明するものなんだから,面倒でも戻りをちゃんと変数で受けてもらいたいところでした。

偉そうになってしまったけれども,感想としてはそんなところ。Android SDK 本の水準はどんぐりの背比べという印象です。バイブル本は当分出版されないんじゃないだろうか。

Trackback
Trackback URL:
Ads
About
Search This Site
Ads
Categories
Recent Entries
Log Archive
Syndicate This Site
Info.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Movable Type 3.36
Valid XHTML 1.1!
Valid CSS!
ブログタイムズ

© 2003-2012 AIAN