Entry

ドキュメンテーションメモ - 動詞を名詞的に使うと文章が分かりにくくなるという話

2010年11月24日

マニュアルや仕様書を読んでいると,しばしば分かりづらい表現に出くわすことがあります。そのひとつが,動詞を名詞的に使う用法。ソフトウェア界隈ではかなり多い表現です。

「動詞を名詞的に使う用法」というのは,例えば次のような表現です。

モジュールの再登録を行うには,まず既存モジュールの削除を行い,改めて追加を行います。追加ができない場合は,正常に削除が行われていない可能性があります。

よく見ますよね,こゆ文章。

「再登録」とか「削除」とか「追加」とかいった言葉は,本来動詞として使うものですけれど,上の用例ではことごとく名詞として使っています。すべて動詞にすると,こうなるはず。

モジュールを再登録するには,まず既存モジュールを削除し,改めて追加します。追加できない場合は,正常に削除されていない可能性があります。

どっちの方が分かりやすいでしょうか。あたしは,後者のほうが分かりやすい。どうしてかというと,動詞を名詞として使う場合も,結局「行う」のような動詞を伴うからです。「削除を行う」というとき,本来的な動詞である「削除」と,単に前者を動詞化するため使う「行う」の両方の言葉を処理する必要があります。一方,「削除する」だけなら一回の文節を処理するだけで足りる。

また,こう言ってもいい。「行う」という言葉は目的語にたくさんの言葉を取ることができます。その分あいまいな表現なんですね。文章を読むときは,普通主語と述語(何がどうするのか)に注目するわけですけれど,「行う」のような一般的な動詞の場合,目的語である「削除」まで読まないと何をするのか分かりません。

さらに上の例では,「削除」という本来の動詞に目的語をつけたい場合に困ります。形式的な動詞である「行う」はすでに目的語(「削除」)をとってしまっているために,「を」や「の」が連続してしまうんですね。例として,上の例の「改めて追加を行います」に「モジュール」という目的語をつけることを考えてみましょう。この場合,「行う」の目的語に「追加」が使われているので,「を」で目的語化することはできません。「改めてモジュールを追加を行います」とは言えませんもんね。動詞として使うなら,「改めてモジュールを追加します」と言えるんですが。仕方ないのでこの場合,目的語化するために「の」を使うことになるけれども(「改めてモジュールの追加を行います」),少し入り組んだ文章になると,簡単に「の」が連続してしまって,「の」がどこにかかっているのか分からなくなってしまう。

ソフトウェア界隈でこうした用法が生まれるのには理由があって,おそらく「削除==削除機能」のような名詞として認識されているからだと思います。「削除機能」や「削除ボタン」は立派な名詞だけれども「削除」は普通名詞として使わない。

とあるマニュアルを読んでいて,どうもいびつな文章だなー……と思っていたところ,なんとなく理由が分かったので書いてみました。ただそれだけ。

Trackback
Trackback URL:
Ads
About
Search This Site
Ads
Categories
Recent Entries
Log Archive
Syndicate This Site
Info.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
Movable Type 3.36
Valid XHTML 1.1!
Valid CSS!
ブログタイムズ

© 2003-2012 AIAN